聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
それにしても、スピード出しすぎな気がする。
ちゃんとヘルメットは付けてるけど、それにしたって怖いものは怖い。
「紫呉さん、ちょっと速くないですかっ…!?」
「このくらい普通です。今度ドライブにでも行きましょう。きっと慣れますよ」
そんな呑気なこと言ってる場合ですか…!?
風を切る音が鋭くて、紫呉さんの声が少し聞にくい。
こんな状況でもドライブの話ができる紫呉さんに驚いていたら、いつの間にか繁華街に着いていた。
「ここで下劣な真似をするのはアイツらしかいません。さっさと終わらせて、妹さんを助けますよ」
「あぁ。ってか、この前散々痛い目に遭わせてやったのに、ほんっと懲りない奴らだな…」
紫呉さんは私をバイクから下ろすと、斗真さんと話してから私の手を引いて走り出した。
「翠は妹さんの確保をお願いします。処理はこっちがしますから、妹さんを見つけたらすぐに逃げてください。わかりましたか?」