聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
息一つ切らさずに走り続ける紫呉さんは、流石としか言いようがない。
でも、なんで今私たち走ってるの…???
「それは大丈夫ですけど…っ、場所もわからないのに走ってません…っ!?」
あーちゃんからは“繁華街”としか言われなかったから、どこにいるのかなんてわからないはず。
そう思って聞いてみたら、すぐに返事が返ってきた。
「場所はわかってますし、グループの見当もついてるのでご安心を。心配しなくても、彼らの目的は女性ではなく“金”。先に財布などを収取してから犯行を行おうとしますから、今なら間に合います」
紫呉さんに一を聞いたら十で返ってくる。
私が知りたいことを、全てわかった上で話してくれるからありがたい。
それから私は紫呉さんの説明を聞いていた。
今向かっているのは、あーちゃんがさらわれたと思われる空き家。