聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
紫呉さんたちは正面から入るけど、私は裏口からそっと入るという作戦。
以前も同じようなことがあったらしく、今回も同じパターンだと考えたらしい。
「ここです。さっきも言ったように俺らが引き付けますから、そのうちに妹さんと逃げてバイクを泊めた場所まで引き返してください」
数分間走っていたら、紫呉さんが言っていた通りの空き家に着いた。
「はい」
そう頷いたのはいいものの、自分の声が震えていることに気がついた。
今からあーちゃんを襲った人たちがいるところに乗り込むんだと思うと…怖くてたまらない。
それに、紫呉さんたちを巻き込んでしまう形になってることが心苦しい。
本来なら、私一人で来るべきなのに…。
「翠、裏口へ向かってください」
「わ、わかりました」
紫呉さんに言われて2人と別れた私は、裏へ回った。