聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

ここ…だよね?



たしかに裏口っぽい扉があるのを発見し、ドアノブに手をかけた。




ひ……、凄く汚いっ…。



ザラりと砂やホコリが手につき、手を洗いたくなってくる。



っ、ダメダメ!早く行こう…!!



すぐに思考を切り替えて、そのまま手を時計回りに回した。



紫呉さんは、この扉を開ければあーちゃんがいるはずだと言っていた。



そして、絶対に他の人はいないと。



その言葉を信じて開いた扉の先にいたのは、口をガムテープで塞がれ、手首を縛られた私の妹の茜だった。



「ぉ……ん…!!!」



「お姉ちゃん」と言われた気がして、目に涙が滲む。



「待ってて、今ほどくから…!」



声を出したらバレるから小声でそう言い、あーちゃんのガムテープを剥がして腕に巻かれた紐をほどいた。



え…もうできちゃった…?



案外簡単にほどけて、ちょっと拍子抜け。
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