らんらんたるひとびと。
 驚いて、ナツメ先輩…改めハル令嬢に「では、ごきげんよう」と挨拶をして。
 ジェイたちのいるところに早歩きで近寄った。
 地面にぐしゃりと座り込んだシナモンの(そば)から一人の男が去って行く。
 さっき、会場にいたヤバそうな男だ…。
 ジェイはしゃがみこんで、「大丈夫? シナモンさん」とシナモンの肩をがっちりと掴む。

「何があったの?」
 周りの人達が何事かと見ていたが、すぐに目をそらして見て見ぬふりを始めた。
 白雪姫は、唇を噛んで、
「あの騎士団のヤローがシナモンちゃんをナンパしやがった」
「マジかよ!? 白雪姫じゃあるまいし」
 私は、すぐにしゃがんでシナモンを見た。
 顔は真っ青でガクガクと震えているではないか。
 後ろでは、白雪姫が「ひどくなーい? おいらはそこまで女癖悪くないぞー」とぷんすこしているが、知ったこっちゃない。
「シナモン、立てる? 酷い事されたの?」
「…大丈夫です」
「ねえ、ジェイ。白雪姫。近くにいたのに何してたの」
 抗議の声を上げると、ジェイはじっとこっちを見て、
「いや、なんか…シナモンさんとあの男。知り合いみたいで・・・」
 ともごもごしながら言うジェイに、
「知り合いなの、シナモン?」
 シナモンは静かに頷いた。
 よろよろしながら立ち上がる。

「あの男は、一族の…恥です」
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