らんらんたるひとびと。
シナモンから事情を聴きたかったけど、場所が場所だし。
あまりにも具合が悪そうなので、とりあえず家に戻って休んでもらうことにした。
シナモンは「大丈夫です」と言うけど。
周りの目もあるし、立っているのもやっとのようなので。
ジェイに付き添ってもらって一旦、帰ってもらった。
白雪姫は頼りないけど、ま、会場近くで危険なことは起きないだろうと判断した。
私が呼ばれるのは最後なので。
辺りを窺っていると。
一旦、家に戻った者と、その場でお喋りをする人達がいる。
アスカ侯爵令嬢はその場に留まって、周りに3人ほどの令嬢が囲っている。
はたや、近くでは眼鏡をかけた小柄な令嬢とナツメ先輩がお喋りをしている。
派閥というのは、本当にあるようだ…。
と言っても、私はどこにも属したくないな。
面倒臭そうだし。
呼ばれるまで、周囲を観察して、近所を散歩して。
あとは、白雪姫としょうもない世間話をしていると。
ようやく、「エアー様」と声がかかった。
辺りは誰の姿もいない。
呼ばれて、室内に入ると。
ドラモンド侯爵は疲れた様子を見せることもなく、女たらし顔負けの魅力的な笑顔で私を迎えてくれる。
こんなイケオジを調査するなんて、無理・・・
「エアーです。宜しくお願いします」
会場はすっかりと片付けられていて。
ドラモンド侯爵の目の前には机があり、書類が何枚か乗っている。
侯爵と向かい合わせに置いてある椅子に座るように言われ、ゆっくりと座る。
面接なんて、いつ以来だろう?
学生時代の先生との面談以来? あ、退職したいと願い出たときも面談したっけか。
この空間には、ドラモンド侯爵と私しかいないと考えると。
緊張で心臓のバクバクが聞こえそうだった。
「緊張してる?」
「えっ。はい、勿論です」
全力で頷くと、ふふふと笑われてしまった。
「私はね、この面談の中でも貴女と話すのを楽しみにしていたんだよ」
「え、そんな馬鹿な」
「私とツバキが戦友だったという話は聞いているかな」
ゆったりとした口調で、こちらの緊張をほぐすように優しく言われると。
心を許したくなる…なんだか泣きたくなるような気になってくる。
「勿論です。ツバキ…叔父から侯爵様のことは聴いています」
「ツバキにこんな可愛い姪っ子さんがいたとはねえ。確かアイツは親兄弟がいなくて天涯孤独だって自嘲していた奴がねえ」
一枚の書類を眺めながら、さらりと言ったドラモンド侯爵の言葉に青ざめる。
「あの、私は正確に言いますと。ツバキだ…ツバキ様の奥様のお兄様の娘になります」
絶対に身分は調べられているのはわかっている。
落ち着いて話せば大丈夫。
「ああ、そうか。あいつの奥方は子爵家だったね。あれ? 確か、あそこの子爵家はご子息が2人だけでお嬢さんはいないんじゃないっけ」
「私は表向きにはできない娘ですので」
大きい声ではっきりと言うと。
ドラモンド侯爵はきょとんと子供のような表情をした。
貴族なんて愛人がいてなんぼの世界だ。
どんなに調べようとも、隠し子なんて沢山いる。
…まあ、それを言い出したら。いくらでも素性を詐称できることになってしまうのだが。
私がどうだと勝ち誇った顔をすると、ドラモンド侯爵はハハハハと声を出して笑い出した。
その反応を見ているとバレてるんだろうな。
どうして、私がここにいるのか。
ツバキ団長の目的を…。
「いやあ。貴女に会って思ったんだ。貴女は、ふとした仕草なんかがツバキに似てるね」
「えっ、そんなことないですよ」
手をぶんぶんと振って否定する。
「もしかしたら、本当にツバキと遠い親戚なのかもしれないね」
あまり話すとボロが出てきそうなので、黙った。
「では、雑談はここまでとして。本題に入りましょうか」
「…雑談だったんですね」
今のだけでかなりのダメージを受けたけど。ここからが本題。
「倅と結婚したら、貴女は何をしたいですか?」
あまりにも具合が悪そうなので、とりあえず家に戻って休んでもらうことにした。
シナモンは「大丈夫です」と言うけど。
周りの目もあるし、立っているのもやっとのようなので。
ジェイに付き添ってもらって一旦、帰ってもらった。
白雪姫は頼りないけど、ま、会場近くで危険なことは起きないだろうと判断した。
私が呼ばれるのは最後なので。
辺りを窺っていると。
一旦、家に戻った者と、その場でお喋りをする人達がいる。
アスカ侯爵令嬢はその場に留まって、周りに3人ほどの令嬢が囲っている。
はたや、近くでは眼鏡をかけた小柄な令嬢とナツメ先輩がお喋りをしている。
派閥というのは、本当にあるようだ…。
と言っても、私はどこにも属したくないな。
面倒臭そうだし。
呼ばれるまで、周囲を観察して、近所を散歩して。
あとは、白雪姫としょうもない世間話をしていると。
ようやく、「エアー様」と声がかかった。
辺りは誰の姿もいない。
呼ばれて、室内に入ると。
ドラモンド侯爵は疲れた様子を見せることもなく、女たらし顔負けの魅力的な笑顔で私を迎えてくれる。
こんなイケオジを調査するなんて、無理・・・
「エアーです。宜しくお願いします」
会場はすっかりと片付けられていて。
ドラモンド侯爵の目の前には机があり、書類が何枚か乗っている。
侯爵と向かい合わせに置いてある椅子に座るように言われ、ゆっくりと座る。
面接なんて、いつ以来だろう?
学生時代の先生との面談以来? あ、退職したいと願い出たときも面談したっけか。
この空間には、ドラモンド侯爵と私しかいないと考えると。
緊張で心臓のバクバクが聞こえそうだった。
「緊張してる?」
「えっ。はい、勿論です」
全力で頷くと、ふふふと笑われてしまった。
「私はね、この面談の中でも貴女と話すのを楽しみにしていたんだよ」
「え、そんな馬鹿な」
「私とツバキが戦友だったという話は聞いているかな」
ゆったりとした口調で、こちらの緊張をほぐすように優しく言われると。
心を許したくなる…なんだか泣きたくなるような気になってくる。
「勿論です。ツバキ…叔父から侯爵様のことは聴いています」
「ツバキにこんな可愛い姪っ子さんがいたとはねえ。確かアイツは親兄弟がいなくて天涯孤独だって自嘲していた奴がねえ」
一枚の書類を眺めながら、さらりと言ったドラモンド侯爵の言葉に青ざめる。
「あの、私は正確に言いますと。ツバキだ…ツバキ様の奥様のお兄様の娘になります」
絶対に身分は調べられているのはわかっている。
落ち着いて話せば大丈夫。
「ああ、そうか。あいつの奥方は子爵家だったね。あれ? 確か、あそこの子爵家はご子息が2人だけでお嬢さんはいないんじゃないっけ」
「私は表向きにはできない娘ですので」
大きい声ではっきりと言うと。
ドラモンド侯爵はきょとんと子供のような表情をした。
貴族なんて愛人がいてなんぼの世界だ。
どんなに調べようとも、隠し子なんて沢山いる。
…まあ、それを言い出したら。いくらでも素性を詐称できることになってしまうのだが。
私がどうだと勝ち誇った顔をすると、ドラモンド侯爵はハハハハと声を出して笑い出した。
その反応を見ているとバレてるんだろうな。
どうして、私がここにいるのか。
ツバキ団長の目的を…。
「いやあ。貴女に会って思ったんだ。貴女は、ふとした仕草なんかがツバキに似てるね」
「えっ、そんなことないですよ」
手をぶんぶんと振って否定する。
「もしかしたら、本当にツバキと遠い親戚なのかもしれないね」
あまり話すとボロが出てきそうなので、黙った。
「では、雑談はここまでとして。本題に入りましょうか」
「…雑談だったんですね」
今のだけでかなりのダメージを受けたけど。ここからが本題。
「倅と結婚したら、貴女は何をしたいですか?」