らんらんたるひとびと。
大会、4日目
鈴様は、南部コリー侯爵家の四男で、生まれた年に東部アームストロング侯爵令嬢のアスカと婚約。
10歳のときにドラモンド侯爵の養子になった。
少年騎士団学校・青年騎士団学校を主席で卒業。
大学に通いながら、国家騎士団で働く日々を送り。
1年前に北部ドラモンド侯爵邸で暮らすことに。
現在はドラモンド侯爵が指揮を取っているけど、いずれは鈴様がドラモンド侯爵を名乗りこの領地の頂点なるお方だ。
容姿端麗、頭は非常に良い。
運動神経は抜群で剣術・武術・銃術におけてすべて完璧。
絵に描いたようなパーフェクトヒューマン。
だけど、侯爵令嬢を平然とした顔で突き飛ばすという配慮の無さ。
おや…と思った違和感は。
ジェイや白雪姫、シナモンも感じていたようだ。
「鈴っていう奴は、常識が欠落している」
4日目は、一対一の鈴様との面談。
前回は室内での面談だったそうだけど、今回は庭園で散歩しながらの面談だそうだ。
会場に入れるのは、令嬢だけなので。
門前でシナモンと別れ、一人庭園へと向かう。
昨日あたりで確信したが、ドラモンド侯爵の領地にいる限り、危険はないことがわかった。
アスカ嬢は、危害を加える気はなく、単純に妨害したいだけ。
自分に自信のない可哀想なご令嬢だわ~と勝手に解釈していた。
一本道に、人影が見えた時は。
やっぱり今回も妨害が入るのかあ…と呆れた。
ピンク色のドレスではなく、ドラモンド家のイメージカラーである白いドレスを着て。
後ろには、気弱そうな令嬢3人が立っている。
「エアー嬢、あなたは鈴様に会う資格はございませんわ」
「…それを決めるのはアスカ様ではないでしょう」
うんざりとアスカ嬢を見る。
こういうシーンって、貴族の世界で噂程度に聞いたことはあったけど。
まさか自分に降りかかるとは思わなかった。
アスカ嬢は扇子で口元を隠した。
「貴女ごときの身分がそもそも、この大会に参加するのがおこがましいのではなくって?」
「……」
面倒臭い…と思い黙っていると。
「あら、何を黙っていらっしゃるの? 自分が有利だと思っていらっしゃるの? たかが、ドラモンド侯爵と貴女の叔父が知り合いってだけじゃないの」
「……」
脅える演技でもすればいいのだろうか。
だが、もう頭の中では興醒めしかしていない。
「貴女は少し反省したほうがいいと思うわ」
アスカ嬢は目で何かを合図したかと思うと、
バシャッと何か・・・水のようなものが降ってきた。
振り返ると、会場で見たことのあるご令嬢の一人が空のバケツを持って、ビクビクしながらこっちを見ている。
「あーら、お召し物が濡れてしまいましたわね。これでは、鈴様にお会いできませんわね」
「……」
身体にかかった液体は水で大丈夫だろうか。
腕を鼻に近づけて、すんすんと嗅いだけど人体に影響はなさそうだ。
ご令嬢がバケツ持てるほどの腕力があるんだなとぼんやりと考えていると。
アスカ嬢は私の姿を見て満足したのかゲラゲラと笑い出した。
腹の底で湧きおこるのは、怒りではなく、
貴族の世界はイカれていて。
目の前の令嬢は可哀想な人だという憐れみしか持てなかった。
アスカ嬢の取り巻きで見えなかったが、黒い影がぬっと近づいてきて、
「何をしているんです?」
その声に、アスカ嬢たちは「ぎゃ」と跳ね上がった。
私以上に冷めた目で見ているのは、2日目に会場の前で会った小柄な騎士だった。
10歳のときにドラモンド侯爵の養子になった。
少年騎士団学校・青年騎士団学校を主席で卒業。
大学に通いながら、国家騎士団で働く日々を送り。
1年前に北部ドラモンド侯爵邸で暮らすことに。
現在はドラモンド侯爵が指揮を取っているけど、いずれは鈴様がドラモンド侯爵を名乗りこの領地の頂点なるお方だ。
容姿端麗、頭は非常に良い。
運動神経は抜群で剣術・武術・銃術におけてすべて完璧。
絵に描いたようなパーフェクトヒューマン。
だけど、侯爵令嬢を平然とした顔で突き飛ばすという配慮の無さ。
おや…と思った違和感は。
ジェイや白雪姫、シナモンも感じていたようだ。
「鈴っていう奴は、常識が欠落している」
4日目は、一対一の鈴様との面談。
前回は室内での面談だったそうだけど、今回は庭園で散歩しながらの面談だそうだ。
会場に入れるのは、令嬢だけなので。
門前でシナモンと別れ、一人庭園へと向かう。
昨日あたりで確信したが、ドラモンド侯爵の領地にいる限り、危険はないことがわかった。
アスカ嬢は、危害を加える気はなく、単純に妨害したいだけ。
自分に自信のない可哀想なご令嬢だわ~と勝手に解釈していた。
一本道に、人影が見えた時は。
やっぱり今回も妨害が入るのかあ…と呆れた。
ピンク色のドレスではなく、ドラモンド家のイメージカラーである白いドレスを着て。
後ろには、気弱そうな令嬢3人が立っている。
「エアー嬢、あなたは鈴様に会う資格はございませんわ」
「…それを決めるのはアスカ様ではないでしょう」
うんざりとアスカ嬢を見る。
こういうシーンって、貴族の世界で噂程度に聞いたことはあったけど。
まさか自分に降りかかるとは思わなかった。
アスカ嬢は扇子で口元を隠した。
「貴女ごときの身分がそもそも、この大会に参加するのがおこがましいのではなくって?」
「……」
面倒臭い…と思い黙っていると。
「あら、何を黙っていらっしゃるの? 自分が有利だと思っていらっしゃるの? たかが、ドラモンド侯爵と貴女の叔父が知り合いってだけじゃないの」
「……」
脅える演技でもすればいいのだろうか。
だが、もう頭の中では興醒めしかしていない。
「貴女は少し反省したほうがいいと思うわ」
アスカ嬢は目で何かを合図したかと思うと、
バシャッと何か・・・水のようなものが降ってきた。
振り返ると、会場で見たことのあるご令嬢の一人が空のバケツを持って、ビクビクしながらこっちを見ている。
「あーら、お召し物が濡れてしまいましたわね。これでは、鈴様にお会いできませんわね」
「……」
身体にかかった液体は水で大丈夫だろうか。
腕を鼻に近づけて、すんすんと嗅いだけど人体に影響はなさそうだ。
ご令嬢がバケツ持てるほどの腕力があるんだなとぼんやりと考えていると。
アスカ嬢は私の姿を見て満足したのかゲラゲラと笑い出した。
腹の底で湧きおこるのは、怒りではなく、
貴族の世界はイカれていて。
目の前の令嬢は可哀想な人だという憐れみしか持てなかった。
アスカ嬢の取り巻きで見えなかったが、黒い影がぬっと近づいてきて、
「何をしているんです?」
その声に、アスカ嬢たちは「ぎゃ」と跳ね上がった。
私以上に冷めた目で見ているのは、2日目に会場の前で会った小柄な騎士だった。