らんらんたるひとびと。
絵に描いたようなイケメンと歩いている私…
鈴様の横に並んで、顔を見る。
ホムラさんはどうして、自分の責任だって嘘をついたのだろうか。
舗装された道を私と鈴様は進んで行く。
後ろを見ると、シナモンとホムラさんがゆっくりとついてくる。
こんな展開があっていいのだろうか。
鈴様と喋る機会はないだろうと思い込んでいたから。
見上げる美男子は、実在するのがおかしいだろと突っ込みたくなるような美しさで。
白い制服は本当によく似合っている。
「エアー子爵令嬢の叔父はツバキ殿だったな」
黙っていた鈴様が急に喋り出したので、ビクッと肩を震わせる。
「わたくしの名前、よく知ってますね」
緊張してとんちんかんな返事しか出来ない。
「一度聞いた名前は覚えるさ」
「さすがです。そうです、私の叔父はツバキです」
「ツバキ殿とドラモンド侯爵は唯一無二の親友だと聞いてる」
「・・・あの、鈴様。前から疑問に思ってたんですが」
「なんだ」
「ドラモンド侯爵様のことを、お父様と呼ばれないのですか?」
鈴様は、立ち止まった。
何言っているんだコイツという表情を向けられる。
「私の父親は南部のコリー侯爵だ。ドラモンド侯爵は養父だ」
「存じております。ですが、養父とはいえお父上ですの・・・」
「あの偉大なるお方を父上だなんて気安く呼べるわけないだろうが!」
右手をあげて大声を出す鈴様。
クールなイメージがぶち壊しだ。
意外とこの人…お喋りなんだな。
ドラモンド侯爵の話をすると興奮するようなので、「そうですね」と頷いた。
「叔父がよく言ってました。ドラモンド侯爵様は自分にとって人生で最大のライバルだって。騎士団学校時代から一度も勝てないって嘆いておりましたよ」
「そうか。そなたが羨ましいな。ドラモンド侯爵はご自身の過去を絶対に話したがらないからな」
鈴様が本当に羨ましいそうな表情をする。
「機会がありましたら、是非とも叔父に会ってドラモンド侯爵様の話を聞いてあげてください」
「そうだな。ツバキ殿と会う機会があったら、よろしく頼むよう伝えてくれ」
まあ、社交辞令だし。鈴様も会う機会がないのはわかっているだろう。
ふふふと笑いあっているうちに、すぐに宿泊している一軒家の前に付いてしまった。
「もう、ここで大丈夫です。鈴様、上着は洗ってお返ししますわ」
「洗わなくていい」
鈴様は上着を奪うようにして手に持った。
「身体を冷やさぬよう、よおく温めろ」
「ありがとうございます」
鈴様は「じゃあな」と言って、走って元の来た道を戻って行く。
意外すぎる素顔を知ったひと時だった。
鈴様の横に並んで、顔を見る。
ホムラさんはどうして、自分の責任だって嘘をついたのだろうか。
舗装された道を私と鈴様は進んで行く。
後ろを見ると、シナモンとホムラさんがゆっくりとついてくる。
こんな展開があっていいのだろうか。
鈴様と喋る機会はないだろうと思い込んでいたから。
見上げる美男子は、実在するのがおかしいだろと突っ込みたくなるような美しさで。
白い制服は本当によく似合っている。
「エアー子爵令嬢の叔父はツバキ殿だったな」
黙っていた鈴様が急に喋り出したので、ビクッと肩を震わせる。
「わたくしの名前、よく知ってますね」
緊張してとんちんかんな返事しか出来ない。
「一度聞いた名前は覚えるさ」
「さすがです。そうです、私の叔父はツバキです」
「ツバキ殿とドラモンド侯爵は唯一無二の親友だと聞いてる」
「・・・あの、鈴様。前から疑問に思ってたんですが」
「なんだ」
「ドラモンド侯爵様のことを、お父様と呼ばれないのですか?」
鈴様は、立ち止まった。
何言っているんだコイツという表情を向けられる。
「私の父親は南部のコリー侯爵だ。ドラモンド侯爵は養父だ」
「存じております。ですが、養父とはいえお父上ですの・・・」
「あの偉大なるお方を父上だなんて気安く呼べるわけないだろうが!」
右手をあげて大声を出す鈴様。
クールなイメージがぶち壊しだ。
意外とこの人…お喋りなんだな。
ドラモンド侯爵の話をすると興奮するようなので、「そうですね」と頷いた。
「叔父がよく言ってました。ドラモンド侯爵様は自分にとって人生で最大のライバルだって。騎士団学校時代から一度も勝てないって嘆いておりましたよ」
「そうか。そなたが羨ましいな。ドラモンド侯爵はご自身の過去を絶対に話したがらないからな」
鈴様が本当に羨ましいそうな表情をする。
「機会がありましたら、是非とも叔父に会ってドラモンド侯爵様の話を聞いてあげてください」
「そうだな。ツバキ殿と会う機会があったら、よろしく頼むよう伝えてくれ」
まあ、社交辞令だし。鈴様も会う機会がないのはわかっているだろう。
ふふふと笑いあっているうちに、すぐに宿泊している一軒家の前に付いてしまった。
「もう、ここで大丈夫です。鈴様、上着は洗ってお返ししますわ」
「洗わなくていい」
鈴様は上着を奪うようにして手に持った。
「身体を冷やさぬよう、よおく温めろ」
「ありがとうございます」
鈴様は「じゃあな」と言って、走って元の来た道を戻って行く。
意外すぎる素顔を知ったひと時だった。