らんらんたるひとびと。
私は、花嫁候補としての任務をするだけだったけど。
ジェイや白雪姫は護衛の傍ら、本来の任務である領地の調査をきっちりと行っていた。
シナモンはシナモンで、町に買い出しになんか行ってすぐに店の人と仲良くなるそうで。
庶民の暮らしはどうだとか、何が名産なのかを調べてくれている。
話題にもならなかった北部のドラモンド侯爵。
ここ、5~6年で一気に領地は栄えた。
他の領地と比べて一番目に付くのは、領民が全員と言っていいほど、ドラモンド侯爵を慕って尊敬しているという店だ。
誰に訊いても「あの方は良い人だ」と絶賛するという。
侯爵自身は、毎日のように庶民のもとへ行って困っていることをヒアリングし改善するように務めてきたという。
それまでの侯爵なんて顔さえも知らない横暴な奴…だったそうなので。
最初は庶民は皆、疑いの目を向けていたそうだけれど。
ホームレスがいない。
生活が潤っている。
子供たちは無償で教育を受けられる…うんぬん。
まさしく夢の国だなあと考えてしまう。
「エアー様をお待ちしておりましたら、物凄い勢いでアスカ様達が飛び出してきたので、何事かと思い。エアー様を探したのです」
鈴様に送ってもらった後、シナモンが説明してくれた。
「あのホムラっていう人は庶民の出だそうで。エリート街道まっしぐらのボンボンたちとは違って実力一本で這い上がった凄腕らしい」
そう説明してくれるのは顔をピカピカにさせて話す白雪姫だ。
なんで顔がピカピカなのかは、あえて聞かないでおく。(どうせろくなことじゃない)
「同い年くらいだよね? そんなに凄い人なら噂に入ってきそうだけれど」
「それが、あの人。俺らより一回りも上なんだってさ」
「…うそ」
スプーンを持っていた手が止まる。
あの、ホムラさんって人が30歳過ぎているなんて信じられない。
「やはり訓練している方は、健康だからお肌が綺麗なんですかね」
シナモンのよくわからない考えに「どうだろ」と言ったけど。
頭の中で思い起こすホムラさんは、やはり同い年か少し上にしか見えない。
「国家騎士団の肉体班でエースだったホムラさんをドラモンド侯爵がスカウトして、ドラモンド侯爵の補佐としてのポジションだったけど。いつのまにか、ゼンって奴がドラモンド侯爵の補佐になって。ホムラさんがあのお坊ちゃんの補佐官になったそうだ」
「うわあ、それはちょっと…同情しちゃうよね」
ゼンという名前にシナモンをちらちら見ながら、ホムラさんに同情する。
せっかくドラモンド侯爵の右腕として働いていたのに、空気を読まない坊ちゃんの補佐官に降格させられるなんて…
「あの坊ちゃんはご令嬢に対して何の感情も持ってないだろ? だから、アスカ嬢はホムラさんあたりを味方にさせようとしていたみたいだけれど、ホムラさんは一切なびかなかったらしい」
「…ああ、だからか」
一連の出来事をみんなに説明すると、それぞれ納得したように頷いた。
「ホムラ様のように公平な方がいてくださると、全然違いますからね」
ぽつりと呟いたシナモンの言葉は、どこか重みがあって。
貴族の世界はおかしいところだと改めて実感した。
ジェイや白雪姫は護衛の傍ら、本来の任務である領地の調査をきっちりと行っていた。
シナモンはシナモンで、町に買い出しになんか行ってすぐに店の人と仲良くなるそうで。
庶民の暮らしはどうだとか、何が名産なのかを調べてくれている。
話題にもならなかった北部のドラモンド侯爵。
ここ、5~6年で一気に領地は栄えた。
他の領地と比べて一番目に付くのは、領民が全員と言っていいほど、ドラモンド侯爵を慕って尊敬しているという店だ。
誰に訊いても「あの方は良い人だ」と絶賛するという。
侯爵自身は、毎日のように庶民のもとへ行って困っていることをヒアリングし改善するように務めてきたという。
それまでの侯爵なんて顔さえも知らない横暴な奴…だったそうなので。
最初は庶民は皆、疑いの目を向けていたそうだけれど。
ホームレスがいない。
生活が潤っている。
子供たちは無償で教育を受けられる…うんぬん。
まさしく夢の国だなあと考えてしまう。
「エアー様をお待ちしておりましたら、物凄い勢いでアスカ様達が飛び出してきたので、何事かと思い。エアー様を探したのです」
鈴様に送ってもらった後、シナモンが説明してくれた。
「あのホムラっていう人は庶民の出だそうで。エリート街道まっしぐらのボンボンたちとは違って実力一本で這い上がった凄腕らしい」
そう説明してくれるのは顔をピカピカにさせて話す白雪姫だ。
なんで顔がピカピカなのかは、あえて聞かないでおく。(どうせろくなことじゃない)
「同い年くらいだよね? そんなに凄い人なら噂に入ってきそうだけれど」
「それが、あの人。俺らより一回りも上なんだってさ」
「…うそ」
スプーンを持っていた手が止まる。
あの、ホムラさんって人が30歳過ぎているなんて信じられない。
「やはり訓練している方は、健康だからお肌が綺麗なんですかね」
シナモンのよくわからない考えに「どうだろ」と言ったけど。
頭の中で思い起こすホムラさんは、やはり同い年か少し上にしか見えない。
「国家騎士団の肉体班でエースだったホムラさんをドラモンド侯爵がスカウトして、ドラモンド侯爵の補佐としてのポジションだったけど。いつのまにか、ゼンって奴がドラモンド侯爵の補佐になって。ホムラさんがあのお坊ちゃんの補佐官になったそうだ」
「うわあ、それはちょっと…同情しちゃうよね」
ゼンという名前にシナモンをちらちら見ながら、ホムラさんに同情する。
せっかくドラモンド侯爵の右腕として働いていたのに、空気を読まない坊ちゃんの補佐官に降格させられるなんて…
「あの坊ちゃんはご令嬢に対して何の感情も持ってないだろ? だから、アスカ嬢はホムラさんあたりを味方にさせようとしていたみたいだけれど、ホムラさんは一切なびかなかったらしい」
「…ああ、だからか」
一連の出来事をみんなに説明すると、それぞれ納得したように頷いた。
「ホムラ様のように公平な方がいてくださると、全然違いますからね」
ぽつりと呟いたシナモンの言葉は、どこか重みがあって。
貴族の世界はおかしいところだと改めて実感した。