【短編】隣の席の田中くんにはヒミツがある
隣の席の田中くん
入学式も終わり、一週間も過ぎた月曜日の朝。
ほどんどの人がクラスにも慣れてきた今日このごろ。
朝の騒がしい教室で、私こと浜田ちゆは仲良くなった友達が来るまでの間自分の席に座ってボーッとしていた。
そんなとき、感染予防だとか言って開けられている窓から強めの風が入りこんで、私の黒髪をバサバサと散らす。
「ひゃあ⁉ もう! せっかくちゃんとセットしたのにー……」
文句を呟きながら手櫛で直していると、ふと隣の席が視界に入る。
今年度に入ってから一度も使われていない机と椅子。
そう、私の隣の席の田中佳くんは、入学式から今日まで一度も登校してきていないんだ。
先生は事情があってとしか言わないから、理由なんて分からないけれど。
「どんな人なんだろう?」
純粋な疑問。
不安と期待でドキドキしながら始まった中学生活で、初めて隣になった人。
多少なりとも気になる。
そんなことを思ったからかな?
この日、隣の席の田中くんが初登校したんだ。
ほどんどの人がクラスにも慣れてきた今日このごろ。
朝の騒がしい教室で、私こと浜田ちゆは仲良くなった友達が来るまでの間自分の席に座ってボーッとしていた。
そんなとき、感染予防だとか言って開けられている窓から強めの風が入りこんで、私の黒髪をバサバサと散らす。
「ひゃあ⁉ もう! せっかくちゃんとセットしたのにー……」
文句を呟きながら手櫛で直していると、ふと隣の席が視界に入る。
今年度に入ってから一度も使われていない机と椅子。
そう、私の隣の席の田中佳くんは、入学式から今日まで一度も登校してきていないんだ。
先生は事情があってとしか言わないから、理由なんて分からないけれど。
「どんな人なんだろう?」
純粋な疑問。
不安と期待でドキドキしながら始まった中学生活で、初めて隣になった人。
多少なりとも気になる。
そんなことを思ったからかな?
この日、隣の席の田中くんが初登校したんだ。
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