【短編】隣の席の田中くんにはヒミツがある
「すっごいお似合いだよね、あの二人」
「だね! 男子は一年みたいだけど、あの西園寺さんと並んでも絵になるっていうか」
「うんうん、目の保養になるねぇ」
近くにいた三年生らしき人たちの会話が聞こえる。
田中くんと西園寺先輩だと、周りの人にもそんな風に思ってもらえるんだな……。
私だったらそんな風には思われないよね、と落ち込む。
そして、落ち込んだ心にさらに追い打ちをかけるようなことが目の前で起こった。
「そうです、好きですよ!」
今まで何を話しているのかまでは分からなかったけれど、突然田中くんの声が廊下に響く。
好きって、何を――なんて、見れば分かった。
だって、田中くんは耳を赤くして西園寺先輩を見てる。
見たことが無いくらい真剣な目で西園寺先輩を見ている田中くんを見て、告白しているのかもしれないと思った。
思ってしまったら、胸が苦しくてもう見ていられなくて……。
私は逃げるように教室へと戻った。
「ちゆ、おはよう。どこ行ってたの?」
教室には奈美ちゃんがもう登校してきていて、真っ先に挨拶してくれる。
「奈美ちゃん、おはっよぉっ……うぅっ」
いつも通り普通に挨拶を返そうとして失敗しちゃう。
教室までは我慢出来ていたのに、奈美ちゃんを見たらちょっと気が緩んだのか涙が零れてしまった。
「だね! 男子は一年みたいだけど、あの西園寺さんと並んでも絵になるっていうか」
「うんうん、目の保養になるねぇ」
近くにいた三年生らしき人たちの会話が聞こえる。
田中くんと西園寺先輩だと、周りの人にもそんな風に思ってもらえるんだな……。
私だったらそんな風には思われないよね、と落ち込む。
そして、落ち込んだ心にさらに追い打ちをかけるようなことが目の前で起こった。
「そうです、好きですよ!」
今まで何を話しているのかまでは分からなかったけれど、突然田中くんの声が廊下に響く。
好きって、何を――なんて、見れば分かった。
だって、田中くんは耳を赤くして西園寺先輩を見てる。
見たことが無いくらい真剣な目で西園寺先輩を見ている田中くんを見て、告白しているのかもしれないと思った。
思ってしまったら、胸が苦しくてもう見ていられなくて……。
私は逃げるように教室へと戻った。
「ちゆ、おはよう。どこ行ってたの?」
教室には奈美ちゃんがもう登校してきていて、真っ先に挨拶してくれる。
「奈美ちゃん、おはっよぉっ……うぅっ」
いつも通り普通に挨拶を返そうとして失敗しちゃう。
教室までは我慢出来ていたのに、奈美ちゃんを見たらちょっと気が緩んだのか涙が零れてしまった。