【短編】隣の席の田中くんにはヒミツがある
戦う田中くん
「おはよう、浜田さん」
「お、おはよう、田中くん」
始業ギリギリの時間に教室に入って来た田中くんと挨拶をすると、私はサッと広げていた朝読書用の本に視線を戻した。
奈美ちゃんのおかげで元気は出たと言っても、気まずい気分はまだあって……どんな顔をして田中くんを見ればいいのか分からないんだもん。
「あのさ、浜田さ――」
「田中くんおっそーい!」
「今日はギリギリだな? 何してたんだよ」
田中くんが何か言いかけたけれど、周りの人が彼を放っておかない。
すぐに私と田中くんの間には人の壁が出来てしまう。
何を言いかけたんだろう?
疑問には思ったけれど、まだ気まずさが残っていて少し時間を置きたかった私はちょっとホッとした。
それにすぐ担任の先生が教室に入って来たし。
みんなも自分の席に戻ると、田中くんが何か言いたそうに私を見ている気がした。
でもすぐに先生が「静かにー」と声を上げたから話をすることは出来ないって思ったのかな。
結局何も言わず彼も前を向いた。
私も、田中くんと話したい事は沢山ある。
今は気まずくて出来なくても、お昼休みくらいにはお話出来ないかな?
なんて思いながら、私はほとんど読み進められなかった本を片付けた。
「お、おはよう、田中くん」
始業ギリギリの時間に教室に入って来た田中くんと挨拶をすると、私はサッと広げていた朝読書用の本に視線を戻した。
奈美ちゃんのおかげで元気は出たと言っても、気まずい気分はまだあって……どんな顔をして田中くんを見ればいいのか分からないんだもん。
「あのさ、浜田さ――」
「田中くんおっそーい!」
「今日はギリギリだな? 何してたんだよ」
田中くんが何か言いかけたけれど、周りの人が彼を放っておかない。
すぐに私と田中くんの間には人の壁が出来てしまう。
何を言いかけたんだろう?
疑問には思ったけれど、まだ気まずさが残っていて少し時間を置きたかった私はちょっとホッとした。
それにすぐ担任の先生が教室に入って来たし。
みんなも自分の席に戻ると、田中くんが何か言いたそうに私を見ている気がした。
でもすぐに先生が「静かにー」と声を上げたから話をすることは出来ないって思ったのかな。
結局何も言わず彼も前を向いた。
私も、田中くんと話したい事は沢山ある。
今は気まずくて出来なくても、お昼休みくらいにはお話出来ないかな?
なんて思いながら、私はほとんど読み進められなかった本を片付けた。