【短編】隣の席の田中くんにはヒミツがある
「あーもームリ! パートナーなってくれただけで今は充分って思ったけど、ガマンできそうにない」

「え? え? え?」


 どういう意味なのか分からなくて目をパチパチさせて戸惑っちゃう。

 田中くんはそんな私の両手をまたギュッと掴んで真っ直ぐ見つめてくる。

 その両耳は真っ赤だった。


「浜田さん、俺……浜田さんのことが好きだ」

「っ!……え?」


 信じられない思いで聞き返してしまう。

 そりゃあ、田中くんと両想いになれればいいなって思っていたけれど……まさかこんなに早く願いが叶うなんて思ってもいなかったから……。


「え? だって、さっき“気になる子”がいるって……」

「浜田さんのことに決まってるだろ?」

「っ⁉」


 即答されて呼吸が止まる。

 でもドクドク早まる鼓動はうるさいくらいで……。


「初めて隣の席で挨拶したときから可愛いなって気になってた。あまり話せなかったけど、ちょっとしたことが積み重なってたのかな? いつの間にか本気で好きになってたんだ」

「……」


 嬉しくて、でも信じられなくて、言葉が出てこない。


「浜田さん、やっぱりパートナーってだけじゃ俺満足出来ない。俺の彼女にもなってくれないかな?」


 耳だけじゃなく、頬も赤くして田中くんが私を見つめる。
< 43 / 48 >

この作品をシェア

pagetop