【短編】隣の席の田中くんにはヒミツがある
「あの……田中くん?」
呼びかけると、田中くんは「はあぁぁぁ」と息を吐き出して体の力を抜く。
項垂れるように顔も下を向いて何かぶつぶつと口にし始めた。
「何だこれ、可愛すぎ。可愛すぎて無理、心臓止まりそう。え? この可愛い子が彼女なってくれんの? 俺死ぬんじゃないのか?」
なんだかすごいことを言われている気がする。
聞こえてくる言葉全てが恥ずかしくてどうすればいいのか分からないよ。
「あ、あの……田中くん?」
だから止めるようにもう一度呼び掛けると、彼は言葉を止めて顔を上げた。
ゆっくり上げられた顔がまた綺麗で、思わず見とれてしまう。
その整った顔のパーツの一つ。
薄い唇がゆっくり動いた。
「……ちゆ」
「っ⁉」
下の名前を呼び捨てにされて、一気に顔が熱くなる。
返事をするべきなのかもしれないけれど、田中くんの声で名前を呼ばれるのは思った以上に破壊力があったみたい。
口をはくはくと金魚みたいに開け閉めをして、肝心の声が出せなかった。
呼びかけると、田中くんは「はあぁぁぁ」と息を吐き出して体の力を抜く。
項垂れるように顔も下を向いて何かぶつぶつと口にし始めた。
「何だこれ、可愛すぎ。可愛すぎて無理、心臓止まりそう。え? この可愛い子が彼女なってくれんの? 俺死ぬんじゃないのか?」
なんだかすごいことを言われている気がする。
聞こえてくる言葉全てが恥ずかしくてどうすればいいのか分からないよ。
「あ、あの……田中くん?」
だから止めるようにもう一度呼び掛けると、彼は言葉を止めて顔を上げた。
ゆっくり上げられた顔がまた綺麗で、思わず見とれてしまう。
その整った顔のパーツの一つ。
薄い唇がゆっくり動いた。
「……ちゆ」
「っ⁉」
下の名前を呼び捨てにされて、一気に顔が熱くなる。
返事をするべきなのかもしれないけれど、田中くんの声で名前を呼ばれるのは思った以上に破壊力があったみたい。
口をはくはくと金魚みたいに開け閉めをして、肝心の声が出せなかった。