【短編】隣の席の田中くんにはヒミツがある
いつものように無意識に田中くんを目で追っちゃって、だからこそ気付いた。
明らかに左のわき腹をかばうようにしてる。
それに、やっぱり顔色も悪くなってきている気がするし。
「田中くん、次の休み暇? みんなで遊びに行かない?」
「お、それいいな! 田中、どっか行きたいとこあるか?」
それなのに周りのみんなは気付いていない様子。
「あ、悪い。休みの日はしばらく家の手伝いしなきゃなんなくてさ。落ち着いたらまた誘ってくれよ」
田中くんも隠そうとしているのか、普通に返しているし。
だから私も“具合悪いの?”って聞いていいのかどうか分からなくて迷う。
「悪い、ちょっとトイレ」
ハラハラしていると、田中くんがトイレに行くと立ち上がった。
一人で教室を出ていく彼を見て、私は思わず追いかける。
べ、別にストーカーじゃないから!
ちょっと具合悪いんじゃないかって聞くだけだから!
自分に言い訳しながら教室を出て、トイレの方に向かう。
田中くんの姿は見えなくて、どうしようかと考える。
流石に男子トイレの前で出待ちするわけにはいかないし……。
仕方ないので、トイレまでの間にある階段の辺りで待とうと決める。
そうして廊下からちょっと逸れていくと、下に降りる階段の中ほどで誰かが腰を下ろしているのが見えた。
サラサラの黒髪――田中くんだ。
明らかに左のわき腹をかばうようにしてる。
それに、やっぱり顔色も悪くなってきている気がするし。
「田中くん、次の休み暇? みんなで遊びに行かない?」
「お、それいいな! 田中、どっか行きたいとこあるか?」
それなのに周りのみんなは気付いていない様子。
「あ、悪い。休みの日はしばらく家の手伝いしなきゃなんなくてさ。落ち着いたらまた誘ってくれよ」
田中くんも隠そうとしているのか、普通に返しているし。
だから私も“具合悪いの?”って聞いていいのかどうか分からなくて迷う。
「悪い、ちょっとトイレ」
ハラハラしていると、田中くんがトイレに行くと立ち上がった。
一人で教室を出ていく彼を見て、私は思わず追いかける。
べ、別にストーカーじゃないから!
ちょっと具合悪いんじゃないかって聞くだけだから!
自分に言い訳しながら教室を出て、トイレの方に向かう。
田中くんの姿は見えなくて、どうしようかと考える。
流石に男子トイレの前で出待ちするわけにはいかないし……。
仕方ないので、トイレまでの間にある階段の辺りで待とうと決める。
そうして廊下からちょっと逸れていくと、下に降りる階段の中ほどで誰かが腰を下ろしているのが見えた。
サラサラの黒髪――田中くんだ。