人生3度目の悪役姫は物語からの退場を希望する
50.悪役姫は、3度目の人生の成果を知る。
アレクが割り出した最初の魔獣の集団暴走が起きる可能性が高いとされる場所は、旧王都アクアプール。
これは1回目の人生でロイが長期で魔獣討伐に出向いた場所であり、2回目の人生の小説で読んだ記憶のある内容だ。
という事は、ほぼ間違いなく魔獣の集団暴走は起きるし、海上戦が予想される。
荊姫を手入れしながら、海上戦に向けてなるべく人的被害が出ない方法をアリアは検討する。
「海上戦……は、正直経験不足なのよねぇ。キルリアには海ないし」
1匹や2匹魔獣を屠るくらいならどうということもないのだが、集団で押しかけてくる暴走したそれらを倒さねばならない。
「大丈夫ですよ、姫様なら」
と、マリーは隣で小型ナイフを整備しながらアリアに声をかける。
「荊姫を抜き、その目の力を解放した姫様に不可能はありません。ずっと見てきた私が保証します」
マリーはくるくると切れ味の良いナイフを指で弄び、調整済みのナイフを投げる。
それは音もなく綺麗に飛び、壁にセットしてある的のど真ん中に綺麗に収まる。
「相変わらずの的中率。ていうか、そんな念入りに整備してマリーも行く気?」
「当たり前ではありませんか。姫様が長期で前線に出られるというのに、マリー以外の一体誰に姫様のお世話ができますか?」
さも当然といった様子でマリーは頷く。
「きっと、姫様はご自身のことなど顧みず全力を尽くされるのでしょう。その目のリミットが来てしまったとき、対処できるのは私だけです」
「まぁ、そうなんだけどさぁ。スタンピードだよ? 私きっとマリーのこと気にかけてあげられない」
「それこそ今更です。私に魔獣を倒せるだけの力はありませんが、自分の身くらい自分で守れます」
マリーはメイド服スカートの裾を掴み綺麗なカテーシーをしてみせる。
「マリーはどこへなりとお供します。たとえ、そこが地獄の果てだとしても。もう2度と姫様をひとりで死地に行かせなどしません。なので、姫様は姫様の心向くまま存分にお力を発揮されてください」
それは、姫様にしかできないことですからと言って、マリーはアリアに変わらない忠誠を誓う。
これは1回目の人生でロイが長期で魔獣討伐に出向いた場所であり、2回目の人生の小説で読んだ記憶のある内容だ。
という事は、ほぼ間違いなく魔獣の集団暴走は起きるし、海上戦が予想される。
荊姫を手入れしながら、海上戦に向けてなるべく人的被害が出ない方法をアリアは検討する。
「海上戦……は、正直経験不足なのよねぇ。キルリアには海ないし」
1匹や2匹魔獣を屠るくらいならどうということもないのだが、集団で押しかけてくる暴走したそれらを倒さねばならない。
「大丈夫ですよ、姫様なら」
と、マリーは隣で小型ナイフを整備しながらアリアに声をかける。
「荊姫を抜き、その目の力を解放した姫様に不可能はありません。ずっと見てきた私が保証します」
マリーはくるくると切れ味の良いナイフを指で弄び、調整済みのナイフを投げる。
それは音もなく綺麗に飛び、壁にセットしてある的のど真ん中に綺麗に収まる。
「相変わらずの的中率。ていうか、そんな念入りに整備してマリーも行く気?」
「当たり前ではありませんか。姫様が長期で前線に出られるというのに、マリー以外の一体誰に姫様のお世話ができますか?」
さも当然といった様子でマリーは頷く。
「きっと、姫様はご自身のことなど顧みず全力を尽くされるのでしょう。その目のリミットが来てしまったとき、対処できるのは私だけです」
「まぁ、そうなんだけどさぁ。スタンピードだよ? 私きっとマリーのこと気にかけてあげられない」
「それこそ今更です。私に魔獣を倒せるだけの力はありませんが、自分の身くらい自分で守れます」
マリーはメイド服スカートの裾を掴み綺麗なカテーシーをしてみせる。
「マリーはどこへなりとお供します。たとえ、そこが地獄の果てだとしても。もう2度と姫様をひとりで死地に行かせなどしません。なので、姫様は姫様の心向くまま存分にお力を発揮されてください」
それは、姫様にしかできないことですからと言って、マリーはアリアに変わらない忠誠を誓う。