人生3度目の悪役姫は物語からの退場を希望する
 ソファーの隅っこで、ぐったりと力なくうつ伏せになったアリアは、

「……うぅ……ロイ様のキス魔。セクハラで訴えてやる」

 白い肌を紅く染めて、いっぱい色んなところにキスされたと呻くようにそう言った。

「可愛い過ぎるアリアが悪いと思う。あと反応良すぎ」

 この程度で我慢してる俺えらくない? むしろ褒めてとロイはアリアの髪を軽くひくと、

「アリア、怒ってる?」

 心配そうな声でそう尋ねる。

「……怒って……は、ないです」

 顔を伏せたまま消えてしまいそうなほど小さな声でそう言うアリアに、

「じゃあ、恥ずかしかっただけ?」

 未だ紅いままの首筋を見ながらクスッとロイは尋ねる。
 アリアは少し間を空けて、コクンと小さく頷く。それを見たロイは、嬉しそうに目を細めて、

「アリア、愛してる」

 と優しい声音で話しかける。

「十分……伝わりました」

 そう答えたアリアの背中に、そろそろこちらを向いて欲しいとロイは促す。
 まだ引かない熱に顔を赤くしたままのアリアはゆっくりとロイの方を見る。

「私も、愛しています」

 そう言ってふにゃっと表情を崩して柔らかく笑うアリアを抱きしめて、

「じゃあ誤解も解けてお互い同じ方向を向いたところで、そろそろ今後のことも踏まえて一緒に答え合わせをしようか?」

 ロイは幸せそうに笑ってそう言った。
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