人生3度目の悪役姫は物語からの退場を希望する
11.悪役姫は、作戦の失敗を知る。
「お怪我は? お姉様」
「ありがとう、私は大丈夫よ。荊姫、それにその瞳、黄昏時の至宝を見るのは久しぶりだわ、アリア」
すっかり冷静さを取り戻したフレデリカはパチンっと手を叩き、ぱぁぁっと顔を明るくして嬉しそうに微笑む。
「ご無事で何よりです」
そう言ってアリアはパチパチと瞬かせ、瞳を元に戻した。
黄昏時の至宝。それはキルリア王家でも限られた人間のみに発現する特殊魔法。
魔剣を扱うにはかなり身体に負担がかかるため、身体能力強化が必須だ。黄昏時の至宝発現中は飛躍的に身体能力を向上させる。ただし、代償があるため、長時間使用する事はできない。
今回は短時間だったから大丈夫そうねとアリアは身体の具合を確かめて、フレデリカを見返した。
明るい栗色の髪に空色の瞳を持つアリアの6つ上のお姉様であるフレデリカの微笑みは、女のアリアですら目を引かれるほど愛らしい。
それもそうだろう。フレデリカは自身の愛らしさを自覚しており、手練手管で引くて数多の求婚者からキルリアに有利な条件や様々な貢物を巻き上げていた無敵のお姉様なのだから。
傾国の美女というものが存在するのなら、それはおそらくフレデリカを指すのだとアリアは思う。敵に回せば恐ろしいが、味方にすればこれ以上になく心強い。
そんなフレデリカが嫁いだ先が軍事国家ウィーリア。数多の権力者に望まれながら、蛮国と揶揄され怪物と名を馳せたウィーリアの国王であるハデス・フィサリスの元にフレデリカは自ら望んで嫁いでいった。
ウィーリアの陛下など求婚者達にとっては随分な番狂せで、フレデリカが嫁いだ際には悲嘆にくれる男たちが屍のように積み上がっていた。
フレデリカがハデスに決めた理由はこの上なく楽しそうだからだそうで、一夫多妻の国であるはずなのにハデスはフレデリカ以外の妻を持たず、そのフレデリカはハデスからの寵愛を一身に浴びており夫婦仲はかなりいい。
「ふふ、4年前に突然普通の女の子になりたいだなんてアリアが荊姫を封印してしまった時は悲しかったけど、今日その姿が見れるだなんて来た甲斐があったわ!」
先程まで魔獣に襲われ怯えていたと言うのに、ほわっと柔らかく微笑むフレデリカはなんとも呑気な感想を述べる。
何はともあれフレデリカが無事で良かったとアリアはほっと胸を撫でおろした。
「無事か、フレデリカっ!!」
そんな2人の元にフレデリカの名を叫びながら赤毛で長身の美丈夫が颯の如く姿を現した。
「もう、ダーちゃん遅いっ! フレデリカはアリアが助けてくれたから無事ですよー」
フレデリカは嬉しそうに両手を広げてダーちゃん、もとい夫であるハデスを迎える。
「ありがとう、私は大丈夫よ。荊姫、それにその瞳、黄昏時の至宝を見るのは久しぶりだわ、アリア」
すっかり冷静さを取り戻したフレデリカはパチンっと手を叩き、ぱぁぁっと顔を明るくして嬉しそうに微笑む。
「ご無事で何よりです」
そう言ってアリアはパチパチと瞬かせ、瞳を元に戻した。
黄昏時の至宝。それはキルリア王家でも限られた人間のみに発現する特殊魔法。
魔剣を扱うにはかなり身体に負担がかかるため、身体能力強化が必須だ。黄昏時の至宝発現中は飛躍的に身体能力を向上させる。ただし、代償があるため、長時間使用する事はできない。
今回は短時間だったから大丈夫そうねとアリアは身体の具合を確かめて、フレデリカを見返した。
明るい栗色の髪に空色の瞳を持つアリアの6つ上のお姉様であるフレデリカの微笑みは、女のアリアですら目を引かれるほど愛らしい。
それもそうだろう。フレデリカは自身の愛らしさを自覚しており、手練手管で引くて数多の求婚者からキルリアに有利な条件や様々な貢物を巻き上げていた無敵のお姉様なのだから。
傾国の美女というものが存在するのなら、それはおそらくフレデリカを指すのだとアリアは思う。敵に回せば恐ろしいが、味方にすればこれ以上になく心強い。
そんなフレデリカが嫁いだ先が軍事国家ウィーリア。数多の権力者に望まれながら、蛮国と揶揄され怪物と名を馳せたウィーリアの国王であるハデス・フィサリスの元にフレデリカは自ら望んで嫁いでいった。
ウィーリアの陛下など求婚者達にとっては随分な番狂せで、フレデリカが嫁いだ際には悲嘆にくれる男たちが屍のように積み上がっていた。
フレデリカがハデスに決めた理由はこの上なく楽しそうだからだそうで、一夫多妻の国であるはずなのにハデスはフレデリカ以外の妻を持たず、そのフレデリカはハデスからの寵愛を一身に浴びており夫婦仲はかなりいい。
「ふふ、4年前に突然普通の女の子になりたいだなんてアリアが荊姫を封印してしまった時は悲しかったけど、今日その姿が見れるだなんて来た甲斐があったわ!」
先程まで魔獣に襲われ怯えていたと言うのに、ほわっと柔らかく微笑むフレデリカはなんとも呑気な感想を述べる。
何はともあれフレデリカが無事で良かったとアリアはほっと胸を撫でおろした。
「無事か、フレデリカっ!!」
そんな2人の元にフレデリカの名を叫びながら赤毛で長身の美丈夫が颯の如く姿を現した。
「もう、ダーちゃん遅いっ! フレデリカはアリアが助けてくれたから無事ですよー」
フレデリカは嬉しそうに両手を広げてダーちゃん、もとい夫であるハデスを迎える。