人生3度目の悪役姫は物語からの退場を希望する
膝をついていたマリーは頭を下げたままで、
「姫様より殿下に今後のプランをまとめた草案をお預かりしておりますので、発言の許可を頂けますか?」
と淡々とした口調でそう言った。
許可を得て顔を上げたマリーはロイにアリアから預かった計画書案を渡す。
アリアから言付かった説明を伝えたマリーは、アリアの走って行った方に視線を向ける。
「殿下には感謝しております。あんなに楽しそうな姫様、久しぶりに見ましたので」
「感謝している顔には見えないが?」
対峙しているマリーはロイの言葉に苦笑して、
「いえ、本当に感謝はしているんです。ただ、同時に寝た子を起こしてくれやがって、どう責任とってくださるのかしらとも思っておりますが」
マリーは楽しそうにそう口にした。
「あの方は、キルリアでも取り扱い注意なんですよ。王太子であるルシェ様ですら姫様の扱いは慎重でした」
あーあ、あんなに楽しそうにさせちゃってと大袈裟にため息をつくマリーにロイは訝しげな視線を寄越す。それを受けてマリーは言葉を続ける。
「殿下。この度の婚姻に伴い、姫様が自ら放棄された姫様の王位継承権。その放棄する前の継承順位、ご存じですか?」
「王太子以外キルリアは非公開だろ」
「ええ、そうです。ですが、調べられないならあなたの腕の長さはその程度です」
ちなみにハデス様は全員分正確に把握されていましたよと話すマリーのその言葉にルークとクラウドが殺気立つ。
「投擲は姫様ではなく、私の専門です。ご希望でしたらいつでもお相手いたしますが」
一介の侍女風情がという視線を真っ向から受けるマリーの指の間にはいつのまにか何本もの針がセットされていた。
「ルーク、クラウド、やめておけ。事実を指摘されて怒るほど俺は狭量じゃない」
手で2人に殺気を収めるよう示したロイはマリーに続きを促す。
「キルリアは実力主義です。継承権は国を出たり放棄しない限り王族全員に平等に与えられ、継承順位は功績と適性で総合的に判断されます。ちなみに王太子以外毎年順位の見直しがされます」
マリーは琥珀色の瞳に向かって淡々と言葉を紡ぐ。
「そんな中で姫様は、その身に継承権が生じた時からずっと第3位を維持されていました。姉姫様や公爵家の令息たちを差し置いて。姫様は一番年若く、性格が素直過ぎるので適性面で難ありでしたが、国への貢献度と功績だけでいけば王太子のルシェ様とほぼ互角です。うちの姫様、常に嵐の中心にいるので」
あの人無自覚に無双して人の事振り回す天才なんですよと言うマリーの言葉に驚く3人を他所にマリーは苦々しく文句を述べる。
「そんな姫様が突然普通の女の子になりたいのだなんておっしゃるから諸手を挙げて城内の侍女総出で4年がかりで姫様教育を施したと言うのに。ホント、どうしてくれるんですか。ああなった姫様は止まりませんからね」
マジで責任とって欲しいとガチトーンのマリーにアリアは一体自国で何をやらかしたんだとルークとクラウドは身構える。
「何故、その話を俺にする?」
「当然、姫様のためですよ」
確認のように尋ねるロイに、マリーはそう言い切る。彼女の話を反芻し、真意を探るように思考を巡らせたロイはなるほどとつぶやいた。
「興味本位だと火傷しますよ」
「それはまた魅力的な話だな」
権力者に対して怯む事ないマリーの態度に、楽しそうにそう言ったロイを見ながら、内心アリアを止めてくれる事を期待していたマリーはなんでうちの姫様の周りにいる権力者ってみんなこうなんだろうなぁとこっそりため息をついて諦めた。
「姫様より殿下に今後のプランをまとめた草案をお預かりしておりますので、発言の許可を頂けますか?」
と淡々とした口調でそう言った。
許可を得て顔を上げたマリーはロイにアリアから預かった計画書案を渡す。
アリアから言付かった説明を伝えたマリーは、アリアの走って行った方に視線を向ける。
「殿下には感謝しております。あんなに楽しそうな姫様、久しぶりに見ましたので」
「感謝している顔には見えないが?」
対峙しているマリーはロイの言葉に苦笑して、
「いえ、本当に感謝はしているんです。ただ、同時に寝た子を起こしてくれやがって、どう責任とってくださるのかしらとも思っておりますが」
マリーは楽しそうにそう口にした。
「あの方は、キルリアでも取り扱い注意なんですよ。王太子であるルシェ様ですら姫様の扱いは慎重でした」
あーあ、あんなに楽しそうにさせちゃってと大袈裟にため息をつくマリーにロイは訝しげな視線を寄越す。それを受けてマリーは言葉を続ける。
「殿下。この度の婚姻に伴い、姫様が自ら放棄された姫様の王位継承権。その放棄する前の継承順位、ご存じですか?」
「王太子以外キルリアは非公開だろ」
「ええ、そうです。ですが、調べられないならあなたの腕の長さはその程度です」
ちなみにハデス様は全員分正確に把握されていましたよと話すマリーのその言葉にルークとクラウドが殺気立つ。
「投擲は姫様ではなく、私の専門です。ご希望でしたらいつでもお相手いたしますが」
一介の侍女風情がという視線を真っ向から受けるマリーの指の間にはいつのまにか何本もの針がセットされていた。
「ルーク、クラウド、やめておけ。事実を指摘されて怒るほど俺は狭量じゃない」
手で2人に殺気を収めるよう示したロイはマリーに続きを促す。
「キルリアは実力主義です。継承権は国を出たり放棄しない限り王族全員に平等に与えられ、継承順位は功績と適性で総合的に判断されます。ちなみに王太子以外毎年順位の見直しがされます」
マリーは琥珀色の瞳に向かって淡々と言葉を紡ぐ。
「そんな中で姫様は、その身に継承権が生じた時からずっと第3位を維持されていました。姉姫様や公爵家の令息たちを差し置いて。姫様は一番年若く、性格が素直過ぎるので適性面で難ありでしたが、国への貢献度と功績だけでいけば王太子のルシェ様とほぼ互角です。うちの姫様、常に嵐の中心にいるので」
あの人無自覚に無双して人の事振り回す天才なんですよと言うマリーの言葉に驚く3人を他所にマリーは苦々しく文句を述べる。
「そんな姫様が突然普通の女の子になりたいのだなんておっしゃるから諸手を挙げて城内の侍女総出で4年がかりで姫様教育を施したと言うのに。ホント、どうしてくれるんですか。ああなった姫様は止まりませんからね」
マジで責任とって欲しいとガチトーンのマリーにアリアは一体自国で何をやらかしたんだとルークとクラウドは身構える。
「何故、その話を俺にする?」
「当然、姫様のためですよ」
確認のように尋ねるロイに、マリーはそう言い切る。彼女の話を反芻し、真意を探るように思考を巡らせたロイはなるほどとつぶやいた。
「興味本位だと火傷しますよ」
「それはまた魅力的な話だな」
権力者に対して怯む事ないマリーの態度に、楽しそうにそう言ったロイを見ながら、内心アリアを止めてくれる事を期待していたマリーはなんでうちの姫様の周りにいる権力者ってみんなこうなんだろうなぁとこっそりため息をついて諦めた。