人生3度目の悪役姫は物語からの退場を希望する
アリアは現在宿の一室で正座をさせられていた。
そして一連の報告を聞いたロイは確認するようにこの1ヶ月をまとめて復唱する。
「なぁ、アリア? 俺が聞いていた計画書とまるで違う状況なんだが」
淡々とした冷ややかな声に、ピッとアリアの背筋が伸びる。チラッとロイの顔を覗きみたアリアは、まるで祖国キルリアで長兄のルシェにお説教を喰らっていた時のようだと、背中にダラダラと冷や汗が流れる。
「もう1回聞くぞ? つまりアリアは療養所だけじゃ船乗り病改善のサンプル数足りないと考えて、近海の海賊を制圧して束ね上げ、同症状の者がいないか調べ上げてお茶を飲ませて経過を追っただけでなく、予防効果確認のために対照実験を行った、と」
ロイに聞かれてアリアはコクンと無言で頷く。
「で、広く配布するためには辺境伯の協力が必要だと、海賊と共に乗り込み業務提携を結んだついでにお茶の確保と手軽に取れる商品開発を行い、売り捌けるように商会設立した、と」
淡々としたロイの声に怯えつつ、事実に違いないのでアリアはまたコクンと頷く。
「で、大規模プロジェクトを回す人員の確保が必要だと魔物の討伐を通してアリアのファンを作り、手が空いていた女性達に全面的に協力してもらっている、と。しかも、アリアは魔剣の所持者で、身体強化魔法が使えると」
コレも間違いないのでアリアは頷いて肯定する。
そんなアリアにルークは盛大にため息をつき、クラウドは信じられないものでも見るかのような目つきでコチラを見ている。
アリアはチラッとマリーの方に視線を送る。アリアの視線を受けたマリーはにこやかに首を振った。アリアは顔を青くする。これは素直に怒られろという時のマリーの態度だ。
「だ、だって……殿下結果出せばいいって言った……し?」
誰も止める人がいなかったので、思うがままに振る舞った結果のコレ。
「か、患者さんみんな、治ったし。予防効果も確認したし……販路も作ったし」
しどろもどろになりながら言葉を紡ぐアリアにマジかっとロイがつぶやき、アリアの肩がびくっと震える。
怒られるっとぎゅっとアリアが目を閉じるとアリアの身体がふわりと浮いた。
「へ? あの、殿下?」
「くくくっ、はっはは……マジか!? 皇太子妃が海賊の頭って……あーやばいな、アリア面白過ぎんだろ」
爆笑するロイを見ながら、アリアは驚いたように目を丸くする。
この人はこんな笑い方をする人だったろうか? と。
少なくとも1回目の人生でも、小説の表記にもなかったように思う。
そんなアリアの疑問符をよそに、アリアの事を膝に乗せたロイは、1ヶ月でよくできたなと手放しに褒めアリアの頭を優しく撫でる。
そして一連の報告を聞いたロイは確認するようにこの1ヶ月をまとめて復唱する。
「なぁ、アリア? 俺が聞いていた計画書とまるで違う状況なんだが」
淡々とした冷ややかな声に、ピッとアリアの背筋が伸びる。チラッとロイの顔を覗きみたアリアは、まるで祖国キルリアで長兄のルシェにお説教を喰らっていた時のようだと、背中にダラダラと冷や汗が流れる。
「もう1回聞くぞ? つまりアリアは療養所だけじゃ船乗り病改善のサンプル数足りないと考えて、近海の海賊を制圧して束ね上げ、同症状の者がいないか調べ上げてお茶を飲ませて経過を追っただけでなく、予防効果確認のために対照実験を行った、と」
ロイに聞かれてアリアはコクンと無言で頷く。
「で、広く配布するためには辺境伯の協力が必要だと、海賊と共に乗り込み業務提携を結んだついでにお茶の確保と手軽に取れる商品開発を行い、売り捌けるように商会設立した、と」
淡々としたロイの声に怯えつつ、事実に違いないのでアリアはまたコクンと頷く。
「で、大規模プロジェクトを回す人員の確保が必要だと魔物の討伐を通してアリアのファンを作り、手が空いていた女性達に全面的に協力してもらっている、と。しかも、アリアは魔剣の所持者で、身体強化魔法が使えると」
コレも間違いないのでアリアは頷いて肯定する。
そんなアリアにルークは盛大にため息をつき、クラウドは信じられないものでも見るかのような目つきでコチラを見ている。
アリアはチラッとマリーの方に視線を送る。アリアの視線を受けたマリーはにこやかに首を振った。アリアは顔を青くする。これは素直に怒られろという時のマリーの態度だ。
「だ、だって……殿下結果出せばいいって言った……し?」
誰も止める人がいなかったので、思うがままに振る舞った結果のコレ。
「か、患者さんみんな、治ったし。予防効果も確認したし……販路も作ったし」
しどろもどろになりながら言葉を紡ぐアリアにマジかっとロイがつぶやき、アリアの肩がびくっと震える。
怒られるっとぎゅっとアリアが目を閉じるとアリアの身体がふわりと浮いた。
「へ? あの、殿下?」
「くくくっ、はっはは……マジか!? 皇太子妃が海賊の頭って……あーやばいな、アリア面白過ぎんだろ」
爆笑するロイを見ながら、アリアは驚いたように目を丸くする。
この人はこんな笑い方をする人だったろうか? と。
少なくとも1回目の人生でも、小説の表記にもなかったように思う。
そんなアリアの疑問符をよそに、アリアの事を膝に乗せたロイは、1ヶ月でよくできたなと手放しに褒めアリアの頭を優しく撫でる。