人生3度目の悪役姫は物語からの退場を希望する
今のアリアは自分が悪役姫と書いて当て馬と読む役割だと理解しているし、ロイにとってアリアがどんな存在なのかもきちんと把握している。
端的にいえば、ロイは自分に対して愛情などカケラもなく、自分を抱くのはただ王族として義務を果たしているだけで、書類上の妻でしかないということを2度の人生を通して痛いほど知った。
それでも勝手な押し付けだとわかった上でロイにはヒナにだけは誠実で一途でいて欲しいと思う。
そうでなければ、1回目の人生で自業自得とはいえ断罪されて首を刎ねられた自分が報われない。
初夜を回避できたのだ。小説に書かれてている出来事自体は変えられなくとも、書かれていない細かい齟齬はおそらくどうとでもなるはずだ。
1回目の自分視点での結婚生活、2回目の小説やその付随するものから得たこの世界の客観的データ、そして1回目、2回目の人生で得た知識や経験、これら全てを駆使してロイとヒナが幸せになれる道筋を整え表舞台から消える。
それが、きっと今の自分にできる最善手だとアリアは思う。
それに、こうやって気持ちを落ち着けて、距離をとっていけば、いつかはロイへの恋心だって色褪せて忘れられるはずだ。
(初恋は実らない。麻疹のようなものだ、なんてよく言ったものね。麻疹、罹ったことないけど)
きっと、初恋マジックにかかって拗らせてしまっているだけなのだ。
そうでなければ自分でない人と愛を育む事がわかっている人を、過去自分の首を刎ねた人を、どうしてここまで好きでいられるのだろう?
(愛してくれない人を愛しているなんて、不毛過ぎる)
初夜のイベントを回避した朝、無造作にかけられた毛布に胸が熱くなったなんて。
たったそれだけの事にときめくアリアは少し免疫がなさすぎではないかしら? と自分でも心配になる。
だから、うっかり期待などしないように、間違っても彼を求めたりしないように、最低限の接触で済ませ、その温もりを知らないまま、自分の気持ちが枯れるのを待つのだ。
それがきっと、一番誰も傷つかない方法なのだから。
端的にいえば、ロイは自分に対して愛情などカケラもなく、自分を抱くのはただ王族として義務を果たしているだけで、書類上の妻でしかないということを2度の人生を通して痛いほど知った。
それでも勝手な押し付けだとわかった上でロイにはヒナにだけは誠実で一途でいて欲しいと思う。
そうでなければ、1回目の人生で自業自得とはいえ断罪されて首を刎ねられた自分が報われない。
初夜を回避できたのだ。小説に書かれてている出来事自体は変えられなくとも、書かれていない細かい齟齬はおそらくどうとでもなるはずだ。
1回目の自分視点での結婚生活、2回目の小説やその付随するものから得たこの世界の客観的データ、そして1回目、2回目の人生で得た知識や経験、これら全てを駆使してロイとヒナが幸せになれる道筋を整え表舞台から消える。
それが、きっと今の自分にできる最善手だとアリアは思う。
それに、こうやって気持ちを落ち着けて、距離をとっていけば、いつかはロイへの恋心だって色褪せて忘れられるはずだ。
(初恋は実らない。麻疹のようなものだ、なんてよく言ったものね。麻疹、罹ったことないけど)
きっと、初恋マジックにかかって拗らせてしまっているだけなのだ。
そうでなければ自分でない人と愛を育む事がわかっている人を、過去自分の首を刎ねた人を、どうしてここまで好きでいられるのだろう?
(愛してくれない人を愛しているなんて、不毛過ぎる)
初夜のイベントを回避した朝、無造作にかけられた毛布に胸が熱くなったなんて。
たったそれだけの事にときめくアリアは少し免疫がなさすぎではないかしら? と自分でも心配になる。
だから、うっかり期待などしないように、間違っても彼を求めたりしないように、最低限の接触で済ませ、その温もりを知らないまま、自分の気持ちが枯れるのを待つのだ。
それがきっと、一番誰も傷つかない方法なのだから。