人生3度目の悪役姫は物語からの退場を希望する
40.悪役姫は、宣戦布告される。
アリアに詳しく、と今後の展開をネタバレさせたロイは要点を紙に落として、
「はぁ、なるほどな。そこが繋がってるわけか。怪しいとは思ってたんだけど、なかなか尻尾出さなくて困ってたんだ」
ビンゴだな、と納得したように頷き、
「とりあえず今時点で俺が踏み込むとは思ってないだろうから、叩けばホコリも出やすいだろうし、証拠隠滅前で押さえやすいな。よし、商会に乗り込むか」
と即決した。
「……乗り込むか、ってそんなコンビニ行くみたいなノリで言われても。理由もないのに」
ここがファンタジー小説の世界だとか実は人生3回目なんですなんて言えるはずもないアリアは、まだ小説の時系列的にその時期じゃないんですけどと内心で焦りながらやんわりとロイを止める。
「コンビニが何を意味するのかは知らんが、理由がないなら作ればいいんだよ。その辺はどうとでもなる」
が、ロイの決断は変わらない。
「何が出るかワクワクするなぁ〜。あ、アリアも行く?」
それどころかとても楽しそうに、そして散歩にでも誘う気軽さで、アリアも一緒にアジトに乗り込もうぜと誘ってくる。
「待って。ホントに待って。自ら行く気ですか? それこそ人使ったらどうです?」
話の展開について行けず、なんでこうなったとアリアは頭を抱えながら、せめてロイが現場に行くのを止めようとするが、
「何言ってるんだ、アリア。こんな不確かな情報で人を動かしたらそれこそ後々面倒だろう。"どうやってそれを知り得たのか?"って、な」
ニヤニヤっと悪い笑顔を浮かべるロイにため息をついたアリアは、
「で、本心は?」
と端的に尋ねる。
「報告を聞くより自分で現場に出向く方が楽しいからに決まっている。ワクワクするなぁ〜。まだバレてないと思っている奴がどんな反応するか。さぁて、どうやって追い詰めよう?」
と、非常に楽しそうな声でロイはそう言った。
「…………本気で信じる気、ですか? こんな冗談みたいな話」
完全にロイのペースで振り回されていると思いつつ、アリアにはロイがこんな事をする意図が全く分からない。
「あなた、私が未来を知ってるなんて言う話、全然信じてなかったじゃないですか。一体どういう心変わりなんですか?」
アリアが"未来を知っている"と言って過去2度の人生で得た知識を活用する事はあっても、確定した未来などつまらないと一蹴するロイがそれをアリアから引き出そうとした事など1度もなかった。
だと言うのに、なぜ?
本気でロイの事が分からないと訴えてくる淡いピンク色の瞳を見ながらふっと笑ったロイは、
「今も正直、話半分程度しか信じてはいない」
アリアの目の奥を覗き込むように視線を合わせて、
「そうだな。せいぜい、まぁ時短になればラッキー、ぐらい?」
楽しそうに口にした。
「はい?」
今、何て言った? と情報が上手く処理できなかったアリアに、
「だから、時短。時間は作るものなんだぞ、アリア?」
と再度ロイははっきり言った。
アリアはその言葉に固まって、鈍くなった脳内で必死に情報を整理する。
時短?
今、小説の主人公が時短って言いました?
ストーリーに必要な過程をショートカットしようとしていらっしゃると?
は? 嘘でしょ?
と混乱状態に陥ったアリアは、
「…………ちなみに、時短したい理由は?」
と尋ねてみるも、
「アリアに会う時間を作るため」
清々しいほどキッパリと、悪びれることもなく、爽やかな笑顔で言い切るロイの表情から嘘をついているようにも見えず、
(ちょっと待て。何これ!? 何のワナ?)
とますますアリアを混乱させるだけだった。
「はぁ、なるほどな。そこが繋がってるわけか。怪しいとは思ってたんだけど、なかなか尻尾出さなくて困ってたんだ」
ビンゴだな、と納得したように頷き、
「とりあえず今時点で俺が踏み込むとは思ってないだろうから、叩けばホコリも出やすいだろうし、証拠隠滅前で押さえやすいな。よし、商会に乗り込むか」
と即決した。
「……乗り込むか、ってそんなコンビニ行くみたいなノリで言われても。理由もないのに」
ここがファンタジー小説の世界だとか実は人生3回目なんですなんて言えるはずもないアリアは、まだ小説の時系列的にその時期じゃないんですけどと内心で焦りながらやんわりとロイを止める。
「コンビニが何を意味するのかは知らんが、理由がないなら作ればいいんだよ。その辺はどうとでもなる」
が、ロイの決断は変わらない。
「何が出るかワクワクするなぁ〜。あ、アリアも行く?」
それどころかとても楽しそうに、そして散歩にでも誘う気軽さで、アリアも一緒にアジトに乗り込もうぜと誘ってくる。
「待って。ホントに待って。自ら行く気ですか? それこそ人使ったらどうです?」
話の展開について行けず、なんでこうなったとアリアは頭を抱えながら、せめてロイが現場に行くのを止めようとするが、
「何言ってるんだ、アリア。こんな不確かな情報で人を動かしたらそれこそ後々面倒だろう。"どうやってそれを知り得たのか?"って、な」
ニヤニヤっと悪い笑顔を浮かべるロイにため息をついたアリアは、
「で、本心は?」
と端的に尋ねる。
「報告を聞くより自分で現場に出向く方が楽しいからに決まっている。ワクワクするなぁ〜。まだバレてないと思っている奴がどんな反応するか。さぁて、どうやって追い詰めよう?」
と、非常に楽しそうな声でロイはそう言った。
「…………本気で信じる気、ですか? こんな冗談みたいな話」
完全にロイのペースで振り回されていると思いつつ、アリアにはロイがこんな事をする意図が全く分からない。
「あなた、私が未来を知ってるなんて言う話、全然信じてなかったじゃないですか。一体どういう心変わりなんですか?」
アリアが"未来を知っている"と言って過去2度の人生で得た知識を活用する事はあっても、確定した未来などつまらないと一蹴するロイがそれをアリアから引き出そうとした事など1度もなかった。
だと言うのに、なぜ?
本気でロイの事が分からないと訴えてくる淡いピンク色の瞳を見ながらふっと笑ったロイは、
「今も正直、話半分程度しか信じてはいない」
アリアの目の奥を覗き込むように視線を合わせて、
「そうだな。せいぜい、まぁ時短になればラッキー、ぐらい?」
楽しそうに口にした。
「はい?」
今、何て言った? と情報が上手く処理できなかったアリアに、
「だから、時短。時間は作るものなんだぞ、アリア?」
と再度ロイははっきり言った。
アリアはその言葉に固まって、鈍くなった脳内で必死に情報を整理する。
時短?
今、小説の主人公が時短って言いました?
ストーリーに必要な過程をショートカットしようとしていらっしゃると?
は? 嘘でしょ?
と混乱状態に陥ったアリアは、
「…………ちなみに、時短したい理由は?」
と尋ねてみるも、
「アリアに会う時間を作るため」
清々しいほどキッパリと、悪びれることもなく、爽やかな笑顔で言い切るロイの表情から嘘をついているようにも見えず、
(ちょっと待て。何これ!? 何のワナ?)
とますますアリアを混乱させるだけだった。