アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
「ノーラ、いい買い物が出来てよかったな」

 コリンは、そんなわたしのムカつきに気がつかない、あるいは気がつかないふりをしているのか、ノーラにやさしく声をかけ、肩に手を添えてさっさと店の外に行ってしまった。

「公爵閣下、ドレスは明日の夕方までにはお屋敷にお届けいたします」

 にこやかな店主に見送られ、ドレス店をあとにした。

「ノーラ、喉がかわいただろう? お茶でも飲んで帰ろう」

 石畳を歩きつつ、コリンはノーラに提案している。

「まったくもう」

 その彼の背に、おもわず鼻息を荒くしてしまう。

 そのとき、スッと腕が差し出された。

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