アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~

スイーツを食べすぎた者の末路

 クレイグが「作り手の為にも味わって食べなければ」と言っていたけれど、味わって食べたら逆に口から出てしまう。だから、出来るだけ無心になり、とにかく口の中に詰め込んだ。
 たいして噛まず、ひたすら飲みこむ。

 まるで飲み物を飲むように、ケーキを飲むようにして食べ続けた。

 少しでも油断すると逆流してしまう。何かを食べて胸がムカムカするなどという経験は、これが初めてかもしれない。

 こんなにつらく苦しいことなのね。

 飢えに苦しむのとは違う苦しみに耐えながら、ひたすら詰め込んだ。

 そして、お皿にのっていたケーキがすべてなくなった。

 コリンもクレイグもヘンリーもノーラも、ただ声もなくわたしを見ている。

 へへへっ! どうよ? わたしでもやるときはやるのよ。

 ちょっとだけ自分が誇らしい。

 でも、ちょっと待って……。
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