アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~

過酷な選択

 昔、両親の借金を返済したいから雇ってくれと言ってきた少年がいた。哀れに思ったチャールズは、その少年わ自分の側に置いて使い走りをさせた。が、その少年の両親は、いつまででも借金をすることをやめず、挙句の果てに少年の臓器を売り払ってまで金貨をせしめようとした。

 その両親は、あるとき死体で見つかったという。

 それがなにを意味するのかまでは、チャールズは語らなかった。が、容易に想像はつく。

 そして、残された少年である。孤児になった少年をどうしたのか? 彼は少年を施設に入れようとしたけれど、情が移ってしまっていた。そのまま側に置いてしまったという。

 その少年は、稀にみる天才児だった。頭がいいだけでなく、器用で要領がよかった。

 施設に入っていたら、遠からず身分の高い人や権威ある人の目に留まり、高度な教育を受けることが出来たはず。そうなれば、よりよき人生を送れたのである。
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