アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
 机上に一冊の重厚な本が広げられていて、その上にシャーロットが丸くなっているのに気がついた。

 そうよね。猫って人が本を読んでいたりすると、かならずといっていいほど邪魔をするのよね。

「ご主人様。見て見て、わたしを見て」

 きっと本に嫉妬しているのよ。

 猫ってムダに自意識過剰だから。

 そんなことを思いながら、彼女のすぐ前を通りかかった。

 すると、彼女の瞼が開いた。と認識したときには、彼女は飛び起き背中を山のようにし、「シャーッ」と牙を剥きだした。

 もういや。わたしがなにをしたっていうの?

 どうして犬派のわたしを虐めるの?

 慌てて図書室から飛び出した。
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