アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
 彼のすべてを求めている。そして、彼のすべてを欲している。

 二つの感情にもみくちゃにされ、どうにかなってしまいそうと怖くなった。恐怖のあまり。彼にしがみついていた。

 そのとき、顎に彼の指が添えられた。

 ギュッと閉じていた瞼をゆっくり開けると、すぐ目の前に彼の顔があった。

 ほんとうに美しい。

 淡い灯火の中、彼の美貌が浮かび上がっている。
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