アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
 だけど、わたしが嫉妬? 男性にまつわることでそんな感情を持ったことのないわたしが、はたしてこれがほんとうに嫉妬かどうかは判断することは出来そうにない。

 どうしてわざわざ彼女のところに行ったの、コリン?

 関係ないわよね? 百歩譲っても、わたしが鞭打たれたことで責任を追及しに行ったのならまだわかるけれど、そうではない。

 サザーランド伯爵の罪を告発する説得に行った?

 コリン、あなたって弁護士?

 心の中も頭の中も穏やかではない。

「そうでしたか。夫の言う通りだと思います。決心されたこと、素晴らしいことです」

 そう答えるのがやっとだった。

 内心の動揺を彼女に悟られたくなかった。

 レディって、こういうことには勘がいい。だから、余裕の微笑みを見せつつ子どもたちに視線を移した。これだと、彼女の目に子どもたちの様子を見ますよ、と自然な動作に映るはずである。


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