アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
「えっ、そ、そうなの?」

 応じたその声はムダにソプラノだった。

 クレアはサイドテーブルにティーセットとクッキーののったお皿を置いてから、わたしを見た。わたしなんかよりずっとずっと美しく気品のある顔には、やさしい笑みが浮かんでいる。

「じつは、夜中に奥様の様子を見に来たのです」

 またしてもドキリとした。なにかうしろめたいような気がしてならない。
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