アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛～あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく～

「奥様、お出にならない方が……」

　なぜかクレアも侵入者の正体を知っているらしい。

「いいえ。これは、わたしの問題だから。これ以上、逃げ隠れしたり避けていてはダメ。ちゃんとけじめをつけないと」

　彼女に答えたわけではない。

　自分自身に言いきかせたのである。

　そして、気が挫ける前に部屋の扉を開けた。

　しかも怒りにわれを忘れたているからか、力加減が出来なかった。その為、扉の全蝶番がふっ飛んでしまったのではないかヒヤッとしたほどの勢いで扉が開いた。

　廊下の向こうにいるジェフたちが驚いてこちらを向いた。