アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
 叔父は、大げさな動作で彼自身の妻と娘の方を振り返った。

「『公爵夫人です』、『妻です』だとよ。たかだか虫けらのくせに、公爵夫人や妻であるわけがない。どうせ頼み込んでそのふりをしているんだろう?」

 叔父のいかにもろくでなしの顔には、ニヤニヤ笑いが浮かんでいる。

 すごいわ。ろくでなしのくせに、あてずっぽうがあたっている。

 心の中で感心してしまったけれど、感心している場合ではないわよね。

< 262 / 303 >

この作品をシェア

pagetop