アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
「コリン。とにかく、わたしはまだ当分夫婦のふりを続けるつもりだからよろしくね」
「ミヨ、その、なんというか、その夫婦のふりだが、きみさえよければ、ふりをやめてほんとうにならないか? その方が、よりリアリティが生まれるだろう?」

 コリンのその申し出に仰天した。

「本物の公爵はどうするの? それこそ、『おれって結婚したんだ。ビックリ―』なんてレベルの冗談じゃないわ」
「ああ、そこか。大丈夫。彼は、そうだな。いや、なにも書類上というわけではない。なんというか、意識的なもの? 行動的なもの? そういう感覚だ」

 彼らしくない。夫婦のふりではなく、ほんとうの夫婦になる?
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