アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
 あの()は、まるでわたしだわ。

 自分を目の当たりにしているようでつらい。

 彼女は胸元に洗面用の盥を抱えていて、迷うことなく棺に近づいた。

 きっと故人の顔や首をどうにかするつもりなのね。

 容易に推測出来る。

「ノーラ」

 そのとき、ド派手少女たちの一人が彼女に気がついた。

「ゴミ虫が、人前に出てこないでよ」

 少女たちは方向転換をし、ノーラという少女の方に向かった。
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