アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
「違うわよ。あなた自身よ。わたしは重くはないけれど、軽すぎるわけでもない。腰を痛めたりとか、足に負担がかかるとか、とにかくあなたになにかあったら申し訳なさすぎるわ」
「ミヨ、きみはやさしいのだな。ノーラやヘンリーをかばっていたし」

 わたしの前で両膝を折った姿勢のまま、クレイグはわたしを上目遣いに見ている。

 そんな彼をよくよく見れば、結構どころかかなり品が良くて整った顔立ちをしている。むちゃくちゃ皺が多いわけではないので、イケてるおじいちゃんっていってもいいかもしれない。

「そ、そんなことないわ」

 突然褒められたものだから、褒められ慣れていないわたしには奇妙な感覚に満たされてしまう。

「だが、大丈夫だ。どんとこい、だ。こう見えても、足腰は強いのだ。昔は、妻を大いによろこばせたからな」

 なんなの? いまのはどういう意味?
 もしかして、またセクハラ系のネタ?

 こんなセクハラじいさんに身をあずけたら、いろいろな意味でヤバいのではないかしら?
< 75 / 303 >

この作品をシェア

pagetop