アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
「ちょっと待って。そもそも、どうしてあなたがこの借用書を持っているの? これは、亡くなったレッドメイン男爵のものよね?」
「ああ、そうだよ。これは、他の多くの借用書とともに彼の書斎の隠し金庫に保管されていた」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってって。隠し金庫? そこに保管されているものが、どうしてここにあるわけ?」
「そんなこと、きまっているじゃないか。わざわざそんなくだらない質問をするなよ。想像力を働かせたり、推測や予想をする必要もないだろう?」
「まさか、盗んだ……」
「きみは、おれを侮辱するのか? それとも、おちょくっているのか?」

 コリンは、大きな溜息をついた。
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