アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~

違和感

「そうね。借用書がノーラのものなのだとしたら、わたしはやはり返済の為に働くわ。ノーラは、身内を頼ることが出来ない。そうすれば、あとは自分で生きて行くしかない。金貨は、どれだけあっても決して邪魔にならないでしょうから」

 叔父が男爵に借りたのは、彼の借金のほんの一部。氷山の一角にすぎない。他の金貸し業者を中心に、大勢の人から多額の借金をしている。だから、コリンにはエラそうなことを言ったけれど、ノーラに返済出来る金額はたかが知れているし、いつになるのかも正直わからない。

 それでも返したい。

 彼女のよりよい人生の為にも。
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