アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
 彼はうしろを振り返り、執務机に腰かけているバーナードに命じた。

 って、どれだけおれ様なわけ? しかも、叔父たちをぶっ潰す?

 まるで小説に出てくる悪党の親玉みたいな台詞よね。

 こんな彼の横柄でデカい態度に、バーナードは不愉快になるとか怒るとかするわよね?

 その証拠に、バーナードは口を開きかけた。

「コリン……」

 が、彼は開きかけた口を閉じてしまった。

 わずかの間、二人は睨み合っていた。

「隣家の兄弟たちの手配は終わっている。もう間もなく連れて行かれるだろう。ミヨの叔父の件はともかく、ノーラのことは難しい……」
「バーナード、きみらしくないな」

 コリンは、大げさに美貌を左右に振った。
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