Special Edition ②
結局、自宅に到着しても未だに機嫌が直らず。
せっかくの休みなのに……。
玄関からリビングと歩み進めると、くるりと体の向きを変えた彼女が真っすぐ俺を見据えた。
「要」
「ん?」
「今後は、車とか高価なものは自分で買うから」
「……」
「聞いてる?」
「ん」
「要ほどじゃないけど、ちゃんと働いてるし、一条からも役員報酬貰ってるんだから、あれくらい払わせてよ」
「……」
「聞こえてる?」
「……ん」
杏花の言い分はごもっとも。
けれど、それじゃあ、俺の立場がないんだよ。
「夫として、社長として、一条の後継者として。……何より、一人の男として、好きな女を甘やかしたいんだから、諦めろ」
「っ//////」
彼女の気持ちは理解しているつもり。
だけど、それをそのまま鵜呑みには出来ないだけ。
俺は俺で、これまで通り、このスタンスで彼女を溺愛するつもり。
「私だって……」
「……ん?」
俺の言葉に頬を赤らめる杏花は、照れを隠す為に俺の腕に顔を伏せた。
「……私だって……要を……甘やかしたいのにっ」
「っ……」
いつになく、ストレートな言葉を投げかけて来た。
今自宅に、村岡も斗賀もいないからなのか。
久しぶりに二人きりになったからなのか。
「甘えていいの?」
「えっ……?……ん、いっぱい甘えてっ/////」
へぇ~。
そういうこと言っていいのかな?
俺の性格、極端だって知ってるくせに。
「んじゃあ、遠慮なく」
「んっ……っ……っんッ……」
容赦なく唇を塞ぐ。
こんな絶好のチャンス、逃すはずが無い。
柔らかい唇を舌で割り、ぬるりと攻め入って……。
逃げ纏う彼女の舌先を遠慮なく絡め取り、甘噛みして。