Special Edition ②

「一輝って、甘いものとかあまり食べないよね?」
「そうだな、……嫌いじゃないけど、何で?」
「出会った記念日?……初めて一輝に会った日から丸一年がもうすぐなの」
「あ、それで?……何、作ってくれんの?」
「ご希望であれば」
「じゃあ、食べるっ」
「フフッ、可愛い」
「おぃ、可愛いって何だよっ」
「今さっきの顔、めちゃくちゃ可愛かったんだもん」
「バカにすんな」
「してないよ~褒めてんじゃん」
「そういうのは褒めるって言わねぇよ」
「あ、照れてる~」
「うるせぇ」

コインパーキングに駐車し、駅周辺をのんびりと歩く2人。
一輝の腕に腕を絡ませ、久しぶりにまったりとする。

「欲しいものとかある?記念に何か買おうかと思ってるんだけど」
「特には無い。夏桜は?」
「靴とか帽子とか時計とか、何でもいいよ?私、物欲無いから」
「俺もだよ、ケーキだけで十分」
「それじゃあ、彼女心が満たされないんだよね~」
「何だよ、それ」
「分かんない?彼氏のためにはりきりたいという乙女心が」
「う~ん、分からなくはないけど、それ男も一緒だから」
「そうなの?」
「じゃあ、何かお揃いで買う?」
「お揃い?」
「別にパーカーとかベタなものじゃなくて、マグカップとかビアグラスとかでもいいし、箸とかバスタオルとかでもいいしさ」
「じゃあ、それらしいお店廻って品定めしよっ」

一輝の腕をぎゅっと握りしめる。
それも凄く愛らしい笑顔で。
すれ違うスーツ姿の男が夏桜に視線を向けているのに気付いた一輝。
嬉し楽しそうに見上げる夏桜の頭にチュッとわざとらしくキスを落とした。

「ちょっ……こんな街中でっ」
「可愛い顔し過ぎなんだよっ」
「はぁ?」

< 117 / 242 >

この作品をシェア

pagetop