Special Edition ②

17時半少し前。
科警研の駐車場に到着した一輝は、相棒の剣持からの電話を受ける。

「もしもし」
『あ、一輝さん?』
「おぅ、どした?」
『二時間くらい前に青山の辺りを歩いてました?』
「あっ……見られたか」
『やっぱり』
「夏桜には内緒な」
『怪しい~なぁ~~』
「いいから、黙っとけ」
『じゃあ、明日の昼飯奢って下さいっ!』
「ん、奢ってやるから黙ってろよ」
『やったぁー』
「あ、もう切るぞ」
『デート楽しんで下さいね~♪』
「うっせーよっ!」

科警研の正面玄関から一輝の車へと歩いて来る夏桜を捉え、慌てて電話を切った。

「お疲れ様」
「ただいま~」

一輝の車に乗り込んだ夏桜はシートベルトを装着し、フゥ~と一息つく。

「やけに疲れた感じだな」
「う~ん、珍しく他の部署の検査を頼まれて、眼が疲れちゃった」
「そりゃあ大変だったな」

科警研を後にし、車は常磐自動車道へと向かう。

「今日一日、何してたの?」
「ジム行って、ちょっと買い物して、蜥蜴と会って……あとはちょっと散歩みたいな?ぶらぶらと歩いた感じ?」
「へぇ~」
「寿司屋で良かったのか?」
「うん、家ではちらし寿司とか太巻きくらいしか作れないでしょ」
「生もの平気だったっけ?」
「光り物は苦手だけど、海老とかイカとかは好きだから」
「インプットしとく」
「別にいいよ~?食べれないわけじゃないし、アレルギーがあるわけじゃないから気にしなくて」
「俺のことは何でも知りたがるのに、俺には教えないんだ?」
「べっ、別にそういう意味じゃ……」

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