Special Edition ②
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「んっ……ちょっ…と……ッんっ?!!な、何……これ…?」
「何って、……見ての通り、手錠だけど?」
「っ……」
バスローブ姿の夏桜を抱き上げ、寝室のベッドの上に運んだ一輝は、仕事で使用する手錠を夏桜の両手を拘束するようにかけた。
「無理に動くと痕が付くから、じっとしてる方がいいぞ?」
「………」
何が起きているのか理解し難い夏桜。
独占欲が強めで、頻繁に嫉妬することはあるにせよ、一輝に身体拘束されるのは初めての出来事だ。
肩を軽く押され、支えの無い体は簡単に横たわってしまう。
拘束された手首を頭の上に張り付けるように押さえられ、夏桜の脳内は完全に真っ白になった。
もしかして、こういうのが好きなのかしら?とあらぬ方向に思考が向き出した、その時。
ゆっくりと顔に影が降って来た。
「マジで心臓が縮み上がるだろ。俺の寿命縮めるのが趣味なのか?」
「……へ?」
耳元に呟かれる言葉。
先程までの怒気を含んだ荒々しい声ではなく、いつになく弱々しい切ない声音だ。
「定期検診の結果が良好でも、俺は心配なんだよ」
「………」
「知識が無いから怖いし、不安にもなるし。女性特有の痛みは分かってあげれないし、代わることもできない」
「………」
「無力だって分かってるけど、それでも一番傍にいるんだから、何でも話して欲しいんだよっ」
「………」
「何度も言うけど、俺に隠し事はするな」
「……ん」
「次、隠し事したら、マジで監禁すんぞ」
「フフッ……」
「笑い事じゃねぇから」
「だって……」
「夏桜の全てを理解できんのは、俺だけだから、……だろ?」
「ん」