Special Edition ②
*
「ねぇ、一輝」
「ん?」
「私、何人目?」
「は?」
「私はこういう経験無いって前に言ったと思うけど、一輝の昔の話は何も聞いて無いなぁと思って」
「………」
「で、私は何人目なの?」
「……それ、聞いてどうすんの?」
恋愛には疎い夏桜。
女性が抱くような感情を培う青春時代を研究に没頭していたため、少々思考回路が斜め上辺りの軌道を描いている。
恥ずかしがるようなことを淡々と口にしたり、聞かない方がいいこともずけずけと聞いてしまうあたり、夏桜らしい。
今だってそうだ。
普通なら聞きたいけれど、聞いたらショックだと思うようなことなのに、不安な表情一つせず、淡々と口にしている。
何を考えているのか、本当に分かりづらいと思う一輝は、心意を探ろうと瞳の奥を真っすぐ見つめた。
「どう……にもしないけど?」
「ん?」
「昔からモテてたんだろうなぁということは分かるし、何もしなくても美人は寄って来ただろうなぁとは思ってる」
「……で?」
「まだ20代だし、遊んでてもおかしくないし」
「………」
「だけど、これだけ独占欲強いと、彼女ができたら一途で遊ばなくなるだろうなぁと思って」
「………」
「とっかえひっかえする時間が長かったのか、それともある程度特定の人と深く関わってたのか、知りたいなぁと思って」
「……なるほどな」
「で、どうなの?……私、何人目?」
「……教えない」
「何でよっ」
「夏桜が何人目だとしても、今は今だろ」
「意味わかんない」
完全にはぐらかされてしまい、夏桜はムスッとした表情で一輝を見据えた。
「明後日」
「……明後日?」
「ん」
「明後日がどうしたの?」
「明後日に、……教えてやるよ」
「ホント?」
ポンポンと頭が撫でられる。
「二回戦すんぞ」
「えっ?っんッ……っ…」
言い返す言葉も拒むように唇が塞がれた。