Special Edition ②

2日後の17時半過ぎ。
夏桜の職場である科警研の駐車場に一輝の車が止まっている。

スマホで受信したメールを確認していると、助手席の窓ガラスがコンコンと叩かれた。
窓ガラスの外に愛らしく手を振る夏桜がいる。

「お疲れ様」
「お待たせ~」

助手席に乗り込んだ夏桜は、すぐさまシートベルトを装着した。

「どうしたの?」
「ん?……何が?」
「いつもと雰囲気違うというか……」
「あぁ……さっき、ちょっと人と会って来たから」
「そうなんだ」

エリート刑事でも、普段は制服でなくカジュアルな私服姿が多い一輝。
今日はいつもよりお洒落で、デート仕様の服を着ていていることに夏桜は少し違和感を覚えた。

「夕飯、イタリアンでよかった?」
「うん、何でも平気」
「じゃあ、食事の前にちょっと寄りたい所があるんだけど、いい?」
「うん、いいよ~」

ハンドルを握る一輝に笑顔で応える夏桜。
今日は出会って一年の記念日。
イタリアンのレストランに予約を入れておいてくれたことが嬉しくて、ついつい頬が緩んでしまう。

2人を乗せた車は、常磐自動車道を軽快に都心へと南下して行った――。



「えっ……ここ、何屋さんなの?」
「さぁ、……何屋さんだろ?」

車から降りた夏桜の手を掴み、一輝は色とりどりの花々で囲まれたアーチの下をくぐる。
ライトアップされた彫刻。
白色と青色のLEDの電飾が綺麗に輝くその先に、優しいメロディーが流れている。

「えっ、ちょっ……と……」
「誰もいないから大丈夫だよ」
「でも……」

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