Special Edition ②

母子手帳を貰う関係で入籍だけ先にしておいたが、延期したままで何も決めていない。

「俺はするつもりなんだけど、するか、しないか。するなら、いつするか。どんな風にするか。新婚旅行もどうするか決めないとならないんだけど」
「……そうだよね」

あれだけ大々的に婚約したことを周囲に知らせたのだから、挙式だって大々的にが当然なのかもしれない。
けれど、大きなお腹で挙式するのも大変だし、出産後に挙式するとしても、独身の頃と違い身軽ではない。

ついつい後回しにしてしまい、現実から目を背けるように過ごして来た。

「したくないか?」
「……自信がないの」
「自信?」
「うん」

妊娠する前でさえ、三十歳を過ぎてる状態でウェディングドレスを着る自信が無かったのに。
妊娠して体形が変わり、出産後に元に戻せるか自信が無くて……。

「無理して元に戻そうとかしなくてもいいし、子供のためにも無理せず、健康が一番だよ。何より、俺は今の状態でも十分魅力的だと思うけど?」
「え?」
「好きな女なら、どんな姿になろうとも、愛おしくて堪らないものだよ」
「っ……」
「母親から何日か前に電話が来たけど、マタニティフォトを撮るのもいいしさ、母親に頼めば幾らだって彩葉に似合うドレスや着物を用意すると思うぞ」
「………」
「母親は挙式をするものだと決めつけてて、子供の服もオーダーメイドで作るって言い張ってるし」
「っ……」
「新婚旅行もさ、俺らに同行するつもりらしいよ」
「へ?」
「現地で子供を預かってくれるって。二人きりになりたい時に」
「……お義母様」

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