Special Edition ②



両家の両親達は夕食を食べてから帰って行った。

「やっと帰ったな」
「……疲れました。赤ちゃんのお世話をするよりも」
「だよな、……ごめんな」
「郁さんもお疲れ様です」
「桜井さん、今日はもう休んで下さい。何かあったら声掛けるので」
「はい、分かりました。失礼します」

リビングのソファーに倒れ込む二人。
その傍らで気持ちよさそうに寝ている櫂。

「彩葉」
「……はい?」

隣りに座る彩葉の体を抱き寄せるように長い腕が伸びて来た。
その腕の中にすっぽりと収まるように抱き締められる。

「家族って、いいな」
「そうですね」
「本当にお疲れ様。それと、ありがとう」
「私一人では授かれない命ですから。郁さんも、ありがとうございます」
「母親が『跡取り、跡取り』煩いけどさ、別に本人が継ぎたくなければそれでも構わないし。健康であれば十分だと俺は思ってる」
「……私もです」
「だから、気負わずに、のびのびと育てような」
「はいっ」
「何か欲しい物あるか?」
「何ですか、突然」
「大仕事したご褒美?みたいなものだよ」
「あぁ、なるほど。別に無いですよ。櫂がいれば十分」
「それでも、記念に何かプレゼントしたいんだけど」
「う~ん……、そうですね~……」

彩葉は櫂をじーっと見つめ、フッと柔らかい笑みを浮かべた。

「郁さんと私と櫂の名前が入ってるブレスレットが欲しいです」
「おっ、それいいな」
「シンプルなデザインで」
「ん、分かった」
「郁さんは?パパ記念に何か欲しい物ありますか?」
「俺は別に要らないよ」
「そういうわけには行きませんよ」
「………じゃあ、お揃いのブレスレットにするか」
「フッ、いいですね!」

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