Special Edition ②


「お嬢様?……大丈夫ですか?」
「あ、……はい」

半強制的にブライダルチェックし終えた私は、病室のベッドの上で放心状態に陥っていた。
元々冷え性で代謝が悪いとは思っていたが、あんなにもはっきりと数値で表されるとは思ってもみなくて。

末端の血管に血液が行き届いておらず、全体的に血管が瘦せ細っている。
動脈硬化のように血管自体が脆くなっているわけではないが、正常だとは言い難い。

それは、血管だけにとどまらず、長年の蓄積で不妊症をきたす原因になると診断された。

結婚を控えて……いや、もう入籍してしまったのに。
今さら不妊症がどうのこうのって……正直ショックが大きすぎる。

まぁ正確には、不妊症をきたす原因ってなだけで、不妊症だと診断されたわけではないけれど。
それでも、夫婦として将来を誓った相手がいるのだから、動揺を隠しきれない。

検査結果はすぐさま両親に報告されたようで、父親の指示ですぐさま妊活対策とやらが組み込まれたらしいのだけれど。

病室のベッドの上で、執事の佐山さんが説明している内容が何一つ頭に入って来ない。
空返事とばかりに、頭を縦に振って相槌を打つので精いっぱいだった。

「では、明日の午前中に退院し、その後はお屋敷の離れにて…―…」

響さんに逢いたい。
けれど、彼に合わせる顔がない。

彼に何て言おう。
もしかしたら、離婚を切り出されるだろうか?
だって、彼は仁科製薬の跡取りであって、一人息子なのだから。

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