Special Edition ②
検査入院を終え、実家に戻った私は屋敷の離れに閉じ込められた。
正確には閉じ込められたわけではないけれど、両親や兄夫婦がいる母屋にいても居心地悪くて。
執事の佐山さんが食事や必要なものを届けてくれているから何ら問題はない。
離れと言っても、来客が宿泊できるようにと建てたものだから、それなりに設えは整っている。
それどころか、露天風呂やサウナ、ジムやシアタールームなどあらゆる娯楽的なものが揃っている。
妊活というべきなのか、温活というべきなのか。
私に課せられたのは、体を温め免疫を上げるプログラム。
専門家が組み立てたプログラムは約一カ月のスケジュールが記されていて、それを目にして気が遠くなった。
だってこれを終えなきゃ、響さんに逢えないってことでしょ?
入籍したばかりで、別居だなんて……。
連絡も入れずにいたら心配するだろうに。
数日に一回ペースで検査するって言ってたから、なるべく早くにクリアできるように短期集中で頑張ればいいよね?
体を温めるお茶を淹れ、それを飲み干して、浴室へと向かう。
髪と体を洗い、無理なく続けられるように低温に設定されたサウナ入る。
サウナ自体は嫌いじゃないけれど、趣味で入るのとは違う。
成果が上げられなければ意味がない。
気負うものがあるのとないのとでは、やはり違う。
十分という時間が途方もなく長く感じた。
サウナから浴室へと戻り、ぬるめのシャワーを浴びて、テラスにある露天風呂の横に用意されているチェアーに腰掛け外気浴をする。
要らぬことを考えてしまいそうで、無心でそれを何度も繰り返した。