Special Edition ②
マジか。
……そう言われたら、我慢するしかねーだろっ。
芽依の初めてを奪う気なら、このまま腕づくでできないことは無い。
だけど“初めて”は、やっぱりちゃんと彼女が納得いく形でしてあげたい。
今まで散々やり尽くして来て、こんなにも焦らされたことがない。
いつだって、求めなくてもウェルカム状態だったから。
「分かった。芽依がしたいと思った時に合図して」
「フフッ、……はい」
可愛らしい声が耳元にこだまする。
あーもーっ、激甘じゃん、俺。
こんな風に主導権握られたことがないから、正直体を落ち着かせるのも一苦労。
一旦、静めて来るか。
「ちょっと、水飲んで来る」
芽依の腕をそっと外し、ベッドから出た。
キッチン台に両手をつき、気持ちを落ち着かせる。
今日って、初夜じゃなかったっけ?
思い描いていた状況と全く違う状況に大パニック。
ここまで来たら、いつでもいいか。
芽依が俺の元に帰って来てくれたことが一番なんだから。
彼女にだって、気持ちを整理する時間だって必要だよな。
“初めて”なら、特に。
よし、リセットするぞ。
浄水器の蛇口を捻り、グラスに水を注ぐ。
それを一気飲みして、深呼吸した。
再び寝室に戻ると、愛しの奥さんは寝落ちたのか?
可愛らしい寝顔を覗かせている。
「芽依…」
ベッドに静かに潜り込み、彼女の体をそっと抱き締める。
この心地よさは格別だ。
久しぶりに熟睡できそうだ。
寝室の照明を落として、静かに瞼を閉じた。