Special Edition ②
僅かに冷たさが残るシーツとシャンプーのいい香りを纏うぬくもり。
二週間ぶりの心地よさにまだ早い時間なのにうとうととし始める。
芽依を迎えに行くために睡眠時間を削って仕事をしていたお陰で、どっと疲れが出て来たらしい。
芽依を背後から抱き締め、首筋に顔を埋めるようにしていた、その時。
彼女の抱き締める腕が僅かに撫でられた。
起きてるのか?
すると、その手が少しずつせり上がって、体がゆっくりと俺の腕の中で反転した。
寝ぼけてる?
前にも寝ぼけて抱きついて来たことがあったから、たぶんこれもそれだろう。
そっと抱き締め直し、髪を優しく撫でる。
こんな風に直接触れていられるだけで幸せだ。
俺の傍にいてくれるだけで……。
芽依のおでこにキスを落とそうと、ほんの少し口元を持ち上げた、その時。
「ッ?!!」
唇に柔らかい感触が。
しかも、頬に温かい手が添えられ、唇が啄められている。
それも、ちょっと震え気味の可愛らしい唇で。
「……キス、したいの?」
「キス、……だけでいいんですか?」
「……それ、どういう意味?」
「だって、今日……初夜なのでは?」
「っ……、だってさっき嫌がっただろ」
「嫌がってませんよ」
「俺の手、叩いたじゃん」
「あれはちょっとした嫉妬です」
「は?」
「今までの人達と同じようにウェルカム状態にはしたくなかったので、私なりの抵抗です」
「フッ……」
「私が嫌だと思ったら、いつでも止めますよ?」
「フフッ、そうならないように全力尽くすよ」
「では、響さん」
「はい」
「愛してくれますか?」
「もちろん、体の隅々までね♪」
俺の奥さんはやっぱり最高。
他の女とは一味も二味も違うらしい。
この俺を焦らして、煽って、反省させて。
そんな彼女だからこそ惚れたんだ、一目で。