Special Edition ②

改札口に向かって駆けて来たまどか。
普段はストレートの長い髪をポニーテールにしていて、俺とデートする時はさらりと垂らして来るのが定番なのに。
俺の視界に現れた彼女はゆるふわに三つ編みにして、オフホワイトの上品なブラウスにグレーのグレンチェックの膝丈フレアスカートで現れた。

「遅くなってごめんね?」

斜めにポシェットを掛け、手に紙手提げとカーディガンを手にしている。

「マジかぁぁぁああ~~っっっ」
「え、えっ、何?…どこか、おかしい?」

前髪を指先で直そうとしながら、大きな瞳で上目遣い。
かっ、可愛すぎるっっっ。
何だ、この生き物。
っつーか、この恰好で電車乗って来たのかよっ!?

不意にまどかのすぐ後ろに気配を感じで視線を持ち上げると、スマホを手にした大学生らしき男を捉えた。
しかも、俺の姿を見つけて固まってる。

もしかして、ナンパしようとしてた?
ってか、写メ撮ろうとしてたのか?
おいおい、どっちもNGだっての。
この子、俺の彼女だから。

“この子に用でもあんの?”と視殺する。
半径5メートル以内に近づくんじゃねぇぞ?
ってか、俺いるから、もういいだろ。
早く来た道戻れよ、と目で釘を刺して。

「廉……?」
「あ?……っっっ」

男から視線をまどかに落として、絶賛身悶え中。
まどかが誰かに連れていかれないように手をぎゅっと掴んで、もう片方の手を自分の額に当て、背後の柱に倒れ込む。

「1分ちょーだい」
「へ?」
「まどかが可愛すぎて直視できねぇっ」
「なっ……」

普段でも十分すぎるほど可愛いのに、メイクのせいで100倍可愛さが増してるじゃねぇかっ。
数日ぶりのデートだし、誕生日ってのもあるんだろうけど。
これじゃあ、俺の方がご褒美貰って誕生日みたいじゃん。

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